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改葬承諾書とは?書き方・雛形・名義人が死亡している場合の対処法まで完全解説

「墓じまいをしようと思ったら、『改葬承諾書』が必要だと言われたけれど、何のことか分からない」
「お墓の名義人が誰か分からない、あるいは既に亡くなっている場合はどうすればいいの?」
「親族と疎遠でハンコをもらうのが難しい……勝手に書いてもいいの?」
お墓の引越し(改葬)を進める中で、もっとも高いハードルとなるのが、この「書類と人間関係」の問題ではないでしょうか。

慣れない行政手続きの用語に戸惑い、さらに親族間の調整が必要となると、精神的な負担は計り知れません。

もし、この「改葬承諾書」の扱いを間違えると、役所で申請が受理されないばかりか、最悪の場合、「私文書偽造」という犯罪になってしまったり、親族間で取り返しのつかない訴訟トラブルに発展したりするリスクすらあります。

しかし、安心してください。改葬承諾書は、正しい手順と法的知識さえあれば、決して怖いものではありません。

この記事では、改葬手続きの現場で使われている「確実な書き方」から、「名義人が死亡している」「音信不通である」といったイレギュラーな事態への法的対処法まで、一つひとつ丁寧に解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたの手元にある書類の書き方が明確になり、明日迷わず役所へ向かえる状態になっているはずです。

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そもそも「改葬承諾書」とは?なぜ必要なのか

墓じまい(改葬)を行うには、現在のお墓がある自治体の役所から「改葬許可証」を発行してもらう必要があります。その申請プロセスにおいて、特定の条件下で提出を義務付けられるのが「改葬承諾書」です。まずはこの書類が持つ法的な意味と、なぜこれほどまでに重要視されるのか、その背景を深く理解しておきましょう。

改葬承諾書の定義と法的根拠

「改葬承諾書」とは、一言で言えば「現在のお墓の持ち主(名義人)が、遺骨を別のお墓へ移すことに同意している証明書」です。

法律的な観点から少し詳しく解説しましょう。「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」およびその施行規則では、遺骨の移動(改葬)は単なる引越しではなく、「祭祀財産の移動」として厳格に扱われます。

お墓の中に眠っている遺骨は、法律上「物」に近い扱いを受けますが、誰でも自由に動かせるわけではありません。お墓には必ず「墓地使用者(名義人)」が存在し、その人に管理・処分の権利(管理権)があります。もし、名義人の許可なく第三者が勝手に遺骨を持ち出せてしまったら、それは「遺骨の盗難」や「権利の侵害」にあたります。

そのため、墓埋法施行規則第2条第2項では、「改葬の申請者が墓地使用者と異なる場合、墓地使用者の承諾書を添付しなければならない」と明確に規定しています。つまり、役所としては「本当にお墓の持ち主は納得していますか? 後で『勝手に墓を処分された』とトラブルになりませんか?」という点を確認するために、この書類を求めているのです。

この書類は単なる事務手続きの一部ではなく、お墓という「権利」を守るための重要な法的防衛ラインであると認識してください。

「改葬許可申請書」との違いと関係性

多くの人が混乱するのが、「改葬許可申請書」と「改葬承諾書」の違いです。この2つはセットで使われることが多いですが、役割が明確に異なります。

用語の整理

  • 改葬許可申請書: 「私(申請者)が、遺骨を移動させたいので許可をください」と役所に願い出る書類。主役は「実際に動く人(あなた)」です。
  • 改葬承諾書: 「私(名義人)は、あの人が遺骨を移動させることを許可します」と証明する書類。主役は「お墓の権利者」です。

イメージとしては、賃貸マンションの解約手続きに近いかもしれません。「住んでいる人(申請者)」と「契約者(名義人)」が違う場合、契約者本人の同意サインが必要になるのと同じ理屈です。

この2つの書類は、自治体によっては1枚の用紙にまとまっている場合(申請書の下部に承諾欄がある形式)もあれば、完全に別々の用紙になっている場合もあります。ご自身の自治体の様式を確認する際は、この「役割の違い」を念頭に置いておくと理解がスムーズになります。

改葬承諾書が「不要」なケース(申請者=墓地使用者)

すべての改葬で承諾書が必要なわけではありません。むしろ、不要なケースも多々あります。

もっとも典型的なのが、「改葬申請者」と「墓地使用者(名義人)」が同一人物である場合です。

例えば、以下のようなケースです。

承諾書が不要な例

  • 父が亡くなり、長男であるあなたが「お墓の名義変更」を済ませて名義人になっており、あなた自身が墓じまいを進める場合。
  • あなたが自分で購入し契約したお墓を、自分の意思で別の場所に移す場合。

この場合、自分自身の権利で遺骨を動かすわけですから、誰の承諾も必要ありません。申請書の「墓地使用者との関係」欄に「本人」と記載するか、あるいは申請書自体が承諾書の意味を兼ねることになります。

※ただし、極一部の厳格な自治体では、形式的に「本人であっても自認書(自分で承諾したという書類)を出してください」と言われるケースもありますので、念のため窓口での確認は必要です。

改葬承諾書が「必要」なケース(申請者≠墓地使用者)

逆に、承諾書が絶対に必要になるのは、「申請者」と「墓地使用者」が異なる場合です。

現代の墓じまいでは、実はこちらのケースの方が圧倒的に多い傾向にあります。
具体的なシチュエーションを見てみましょう。

承諾書が必要な例

  • 名義人が高齢の親であるケース:
    お墓の名義は田舎に住む80歳の父だが、実際に墓じまいの手続きや手配をするのは、都会に住む長男(あなた)である場合。この場合、父(名義人)からの承諾書が必要です。
  • 名義人が親戚(叔父・叔母など)であるケース:
    本家の墓に入っている自分の両親の遺骨だけを取り出して、近くの納骨堂に移したい場合。お墓全体の名義人は「本家の長男(叔父)」であることが多いため、叔父の承諾書が必要です。
  • 名義人が亡くなった祖父のままであるケース:
    これについては後述しますが、形式上「名義人=祖父(死亡)」となっているため、そのままでは手続きが進まず、非常に複雑な対応が必要になります。

このように、「動く人」と「権利を持っている人」がズレているときに、そのズレを埋める接着剤となるのが改葬承諾書なのです。

注意


改葬手続きは個別の事情によって複雑になりがちです。もし、自分がお墓の名義人かどうかわからない場合は、事前にお寺や霊園の管理事務所に電話をして「現在の使用者は誰になっていますか?」と確認することから始めましょう。

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【画像付き】改葬承諾書の正しい書き方と記入例

ここからは、実際に改葬承諾書を作成するための実務的なガイドに入ります。

自治体によって様式(フォーマット)は多少異なりますが、記入すべき「核となる情報」は全国共通です。ここでは、埼玉県東松山市や宮城県大河原町、福岡市などの一般的な様式を例に、ミスなく一発で受理される書き方を解説します。

入手方法:どこで用紙をもらうのか?

まず、用紙を手に入れる必要があります。入手先は「現在、お墓がある場所の市町村役場」です。

※引越し先の役所ではないので注意してください。

  1. Webサイトからダウンロード:
    多くの自治体では、「〇〇市 改葬許可申請」と検索すると、申請書や承諾書のPDFデータをダウンロードできます。自宅にプリンターがあれば、これを印刷して使うのが最も早いです。
  2. 窓口で直接受け取る:
    役所の「市民課」や「環境課」「斎場管理課」などの窓口で配布しています。
  3. 郵送で取り寄せる:
    遠方の場合は、返信用封筒を送ることで用紙を郵送してもらえる自治体がほとんどです。

必須項目の記入ガイド1:墓地使用者の住所・氏名

ここが最初の重要ポイントです。承諾書における「墓地使用者(名義人)」の欄は、現在のお墓の「永代使用許可証」や「墓地台帳」に登録されている情報と完全に一致している必要があります。

  • 住所:
    現在の住民票上の住所を書きます。ただし、お墓の管理台帳上の住所が古い(引越し前の)ままである場合、自治体によっては「住所変更の届出」を同時に求められることがあります。

    ※書き方のコツ: 「1-2-3」と省略せず、「1丁目2番3号」と正確に記載しましょう。

  • 氏名:
    戸籍通りの漢字で記入します。「渡辺」か「渡邊」か、「高橋」か「髙橋」かなど、細かい字体の違いもチェックされます。

必須項目の記入ガイド2:改葬申請者の住所・氏名

ここには、実際に手続きを行うあなた(受任者)の情報を書きます。

  • 住所・氏名:
    あなたの住民票通りの情報を記載します。この情報は、後に発行される「改葬許可証」の申請者名とリンクします。

必須項目の記入ガイド3:使用者との関係

ここでのミスが非常に多いので注意してください。

「誰から見て、どういう関係か」を正確に書く必要があります。

多くの様式では、「墓地使用者(名義人)から見た、申請者(あなた)の続柄」を書くのが一般的です。

  • 名義人が父で、申請者があなたなら → 「長男」や「子」
  • 名義人が祖父で、申請者があなたなら → 「孫」

逆に、「申請者から見た名義人の関係(父、など)」を書く欄がある様式もあります。様式の文言(「使用者との関係」なのか「申請者との関係」なのか)をよく読んで記入してください。もし不安な場合は、鉛筆で下書きをして窓口に行くか、空欄にしておいて窓口で聞くのが賢明です。

押印は「実印」が必要?「認印」でOK?

「ハンコはどれを押せばいいの?」という疑問も尽きません。

ハンコのルール

  • 基本は「認印」でOK: 多くの自治体では、認印(三文判)での押印で受理されます。
  • 「シャチハタ」はNG: スタンプ印は公的書類では認められません。必ず朱肉を使う印鑑を使用してください。
  • 「実印」が必要なケース: 一部の厳格な自治体や、「名義人が死亡している場合」の書類では、実印と「印鑑登録証明書」を求められることがあります。

親族間トラブルを避けるという意味では、たとえ役所が認印で良いと言っても、可能な限り実印を押してもらい、印鑑証明書をセットでもらっておくのが、後々の「勝手に押された」という言いがかりを防ぐ最強の自衛策です。

よくある難所1:墓地使用者が「死亡」している場合

ここからが本記事の核心部分です。

「お墓の名義人が、数年前に亡くなった父のままになっている」
「名義人が明治時代の先祖のまま放置されている」

このようなケースは非常に多く、ここで手続きがストップしてしまう人が後を絶ちません。死者は承諾書を書くことができないため、特別な対応が必要になります。

原則:まずは「名義変更(承継)」が必要

原則論から言えば、亡くなった人の名義のままでは改葬手続きはできません。
まずは、現在のお墓の名義を、生存している親族(祭祀承継者)に変更する手続きが先決です。

  1. 名義変更(承継):
    お寺や霊園の管理者に連絡し、「名義人が亡くなったので、長男である私に変更したい」と伝えます。所定の手数料(数千円〜数万円程度)と、戸籍謄本などを提出して名義を書き換えます。
  2. 新名義人で申請:
    名義があなたに変われば、あなたは「名義人本人」となります。つまり、改葬承諾書そのものが不要(または自己承諾)になり、スムーズに申請できます。

これが最も正攻法であり、トラブルの少ない方法です。

特例:名義変更せずに手続きできる自治体のケース

しかし、「もうお墓をたたむ(墓じまいする)のに、わざわざ名義変更の手数料を払ったり手続きしたりするのは無駄だ」と感じる方も多いでしょう。
また、お寺によっては名義変更時に高額なお布施を要求されるケースもあり、それを避けたいという事情もあります。

そこで、多くの自治体では「名義変更を経ずに改葬許可を出す特例措置」を用意しています。
(例:札幌市、名古屋市、福岡市など多くの政令指定都市で対応可能)

この場合、以下の書類を「承諾書」の代わりに提出します。

特例措置で必要なもの

  • 改葬許可申請書: 死亡者欄に旧名義人の情報を書く。
  • 申立書・誓約書: 「現在の名義人は死亡しており、私が祭祀承継者(お墓を継ぐ正当な代表者)に間違いありません」と宣言する書類。
  • 戸籍謄本(除籍謄本): 旧名義人が死亡している事実と、申請者と旧名義人のつながり(親子関係など)を証明するもの。

このルートを使えば、形式的な名義変更をスキップして、直接墓じまいの申請が可能です。ただし、「申請者が正当な承継者であること」を証明する責任が重くなるため、集める戸籍の量は増える傾向にあります。

用意すべき追加書類(戸籍謄本・除籍謄本)

名義人が死亡している場合、役所は「本当にあなたがこのお墓を処分する権限があるのか?」を厳しくチェックします。他人が勝手に処分するのを防ぐためです。

そのため、以下の書類取得が必要になります。費用は1通あたり450円〜750円程度かかります。

  1. 旧名義人の除籍謄本(または戸籍謄本): 死亡の事実が記載されているもの。
  2. 申請者の戸籍謄本: 旧名義人との親族関係がわかるもの。

    ※名前が違う、本籍が違うなどでつながりが見えない場合、つながりがわかるまで遡って複数の戸籍(改製原戸籍など)を取得する必要があります。

これらが揃わないと、「承諾書なし」での申請は受理されません。戸籍の読み方がわからない、集める時間がないという場合は、行政書士などのプロに代行を依頼するのも一つの賢い手段です。

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よくある難所2:墓地使用者が「不明・音信不通」の場合

さらに厄介なのが、「名義人が生きているはずだが、どこにいるか分からない」「数十年連絡を取っておらず、行方不明」というケースです。
ハンコをもらおうにも、相手がいなければどうしようもありません。

戸籍の附票で現在の住所を追える可能性

相手が親族であれば、諦めるのはまだ早いです。
役所で「戸籍の附票(ふひょう)」という書類を取得してみてください。

戸籍の附票には、その人のこれまでの住所の移り変わりが記録されています。本籍地さえ分かっていれば、そこから現在の住民票上の住所を割り出すことが可能です。
住所が判明すれば、手紙を送って事情を説明し、承諾書への署名をお願いすることができます。

どうしても連絡がつかない場合の法的措置

住所を調べてもそこに住んでいない、あるいは全くの手がかりがない場合、「無縁墳墓改葬(むえんふんぼかいそう)」という手続きに切り替える必要があります。

ただし、これは非常にハードルが高い手続きです。
法律(墓埋法施行規則第3条)に基づき、以下の厳格な手順を踏む必要があります。

  1. 官報への掲載: 国が発行する機関紙「官報」に、「名義人は申し出てください」という広告を有料で掲載する。(費用目安:3万円〜10万円程度)
  2. 立札の掲示: お墓の前に1年間、同様の立札を立てて告知する。
  3. 1年間の待機: これらを1年間行っても名乗り出る人がいなかった場合、初めて役所が改葬を許可します。

つまり、最低でも1年以上の期間と、数万円〜十数万円のコストがかかります。「今すぐ墓じまいしたい」という希望は叶いません。

このケースに該当してしまった場合は、自力での解決は困難を極めるため、早めに墓じまい専門業者や行政書士に相談し、長期計画を立てることを強くお勧めします。

「改葬承諾書」を勝手に代筆するのは犯罪?

「連絡がつかないし、面倒だから自分で親戚の名前を書いてハンコを押してしまおう……」

注意


これだけは、絶対にやってはいけません。
これは刑法第159条の「私文書偽造罪」および第161条の「偽造私文書行使罪」に該当する立派な犯罪です。

たとえ親族間であっても、本人の同意なく署名押印することは許されません。

もし後でその親戚に見つかった場合、「勝手に墓を処分した」として慰謝料を請求されるだけでなく、役所の許可自体が取り消され、遺骨を元の場所に戻す(原状回復)義務が生じる可能性もあります。

「バレないだろう」という安易な考えが、人生を狂わせるトラブルの火種になります。正規の手続きを踏むことが、結果としてあなた自身を守ることになります。

よくある難所3:墓地使用者が「同意しない・揉めている」場合

書類上の問題ではなく、感情的な問題で承諾書がもらえないケースです。
「先祖代々の墓をなくすなんて許さない」「お前には任せられない」と、名義人である親族(叔父や兄など)がハンコを拒否する場合です。

親族間トラブルの典型的パターン

  • 長男 vs 次男: 墓を守ってきた長男が「もう限界だ」と言う一方で、遠方に住んで墓参りもしない次男が「墓じまい反対」と主張する。
  • 本家 vs 分家: 分家の人間が、本家の墓に入っている親の骨を出そうとしたら、本家の当主(名義人)が「分家の好きにはさせない」と拒否する。

法的に「ハンコ」をもらう強制力はあるか?

残念ながら、法的に無理やり承諾書を書かせる(ハンコを押させる)強制力はありません。
改葬承諾書はあくまで「任意」の意思表示です。名義人が「嫌だ」と言えば、行政(役所)は介入できず、申請は受理されません。

「裁判をしてハンコを押させることはできますか?」という質問もありますが、裁判所が「改葬に同意せよ」という判決を出すケースは極めて稀で、時間と弁護士費用(数十万円〜)が無駄になる可能性が高いのが現実です。

解決策:行政書士や弁護士による仲介

当事者同士で話すと感情的になり、売り言葉に買い言葉で交渉が決裂しがちです。
こうした膠着状態を打破するには、第三者を間に入れることが有効です。

第三者の介入

  • 行政書士: 「法的にどのような手続きが必要か」「放置するとどうなるか(無縁墓のリスク)」を冷静に説明し、書類作成の代行という名目で間に入ってもらう。
  • 弁護士: すでに争いが激化している場合、代理人として交渉してもらう。

特に、「墓じまい代行業者」の中には、こうした親族間調整のノウハウを持っているところもあります。感情論ではなく、「お墓の将来のための現実的な提案」として話をまとめてもらうのが近道です。

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改葬承諾書を含む「墓じまい書類」提出の全体フロー

ここで一度、視点を広げて、改葬承諾書が「どのタイミング」で必要になるのか、全体の手続きの流れを確認しておきましょう。
承諾書は単体で動くものではなく、他の書類とセットで機能します。

step
1
現在の墓地管理者(お寺)から「埋蔵証明書」をもらう

まず最初に行うのは、書類作成ではなく、現在のお墓があるお寺(または霊園)への「墓じまいの申し入れ」です。

住職に事情を話し、了承を得てから、「誰の遺骨が埋まっているか」を証明する「埋蔵証明書」を発行してもらいます。
※多くの自治体では、改葬許可申請書の下部にお寺の署名捺印欄があり、それが埋蔵証明を兼ねています。

step
2
新しい納骨先の「受入証明書」を用意する

次に、遺骨の「引越し先」を確保します。
新しい霊園や納骨堂を契約し、「受入証明書(または永代使用許可証のコピー)」をもらいます。

役所は「次の行き先が決まっていない遺骨」の移動は許可しません。必ず受入先を先に決める必要があります。

step
3
改葬承諾書+改葬許可申請書の作成

ここでいよいよ本記事の主役、「改葬承諾書」と「改葬許可申請書」を作成します。
名義人から承諾書をもらい、申請書に必要事項を記入します。Step1でもらった埋蔵証明(またはお寺のハンコ)もここで揃えます。

step
4
自治体へ提出し「改葬許可証」発行

すべての書類(申請書・承諾書・受入証明書・埋蔵証明書)を揃えて、現在のお墓がある自治体の役所に提出します。
不備がなければ、即日〜1週間程度で「改葬許可証」が発行されます。

この「許可証」を手に入れて初めて、お墓の解体工事や遺骨の取り出しが可能になります。

Q&A:改葬承諾書に関する知恵袋的な疑問を解消

現場でよく聞かれる「細かいけれど気になる疑問」に一問一答形式でお答えします。

Q. 承諾書の用紙は手書きでないとダメですか?(パソコン作成可?)
A. パソコン作成でも問題ありません。
ただし、「署名欄」だけは自筆を求められる自治体が多いです。住所や氏名などの基本情報はPC入力で印字し、最後の署名だけ本人に書いてもらい、押印するのが最も確実で美しい仕上がりになります。

Q. 兄弟でお墓を共有している場合、全員の承諾が必要ですか?
A. 原則として「代表者1名」の承諾で足ります。
お墓の名義(使用者)は、通常1名のみ登録されています。その登録されている名義人の承諾があれば手続きは可能です。ただし、トラブル防止のため、他の兄弟にも「同意書」を一筆書いてもらうのが理想的です。

Q. 遠方に住んでいて役所に行けないのですが、郵送で用紙はもらえますか?
A. はい、ほとんどの自治体で郵送対応しています。
役所のホームページから申請書をダウンロードできない場合、電話で依頼すれば郵送してくれます。また、記入後の提出も郵送で可能な自治体が増えています(返信用封筒と切手の同封が必要)。

Q. 墓じまい代行業者に承諾書の取得も丸投げできますか?
A. 書類の「作成代行」はできますが、「署名」の代行はできません。
行政書士や代行業者は、書類の準備や記入までは代行できますが、名義人本人の意思確認が必要な署名・押印までは代行できません。ただし、名義人への説明や依頼のサポートをしてくれる業者は存在します。

Q. 海外在住の名義人のサインはどうすればいいですか?(サイン証明)
A. 「サイン証明書(署名証明)」を利用します。
海外には印鑑文化がないため、現地の日本領事館などで「サイン証明書」を発行してもらい、それを印鑑証明の代わりに添付して提出します。手続きが特殊になるため、事前に必ず役所に相談してください。

まとめ

改葬承諾書について、基本的な書き方から、名義人死亡時の複雑な対応まで解説してきました。

最後に、この記事の要点を振り返ります。

記事のまとめ

  1. 役割の違い: 「申請書」はあなたが書くもの、「承諾書」は名義人が書くもの。
  2. 名義人死亡時: まずは「名義変更」が原則。特例で「承継者の誓約書+戸籍謄本」でパスできる自治体も多い。
  3. 絶対禁止: 勝手な代筆は「私文書偽造罪」。面倒でも正規の手順を踏むこと。
  4. 音信不通: 戸籍の附票で追跡し、ダメなら官報公告(1年コース)。

改葬承諾書は「人間関係」の整理がカギ

書類の書き方自体は、見本通りに埋めれば決して難しくありません。
本当に難しいのは、そこにハンコを押してもらうための「人間関係の整理」と「親族間の合意形成」です。

改葬承諾書は、単なる紙切れではなく、ご先祖様をどう供養していくかという「家族の意思」を形にしたものです。
手続きを急ぐあまり、強引に進めてしこりを残すよりも、時間をかけて話し合い、全員が納得した形で進めることが、結果として一番の近道になります。

困ったら早めに専門家へ相談を

もし、「名義人が複雑すぎて自分では手に負えない」「親族と揉めていて話が進まない」「役所に行く時間がない」と感じたら、無理をせず専門家の力を借りてください。

墓じまいのプロや行政書士は、こうした複雑な権利関係を解きほぐすスペシャリストです。

まずは、無料の相談窓口を利用して、「自分のケースでは何が必要か」を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。専門家のアドバイスが、あなたの肩の荷をきっと軽くしてくれるはずです。

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