広告 墓じまい後の供養の選び方(永代供養/納骨堂/樹木葬)

樹木葬で後悔したくない人へ。失敗事例から学ぶ7つのリスクと「絶対確認すべき」回避策

「自然に還るような形で、静かに眠りたい」
「子供たちに、お墓の管理で迷惑をかけたくない」

そのようにお考えになり、樹木葬を検討されている方は非常に増えています。従来の重厚な墓石にとらわれない、新しい供養のカタチはとても魅力的ですよね。

しかし、その一方で「樹木葬にして本当に良かったのだろうか?」と、契約後に深い後悔を抱えている方が少なからずいらっしゃるのも事実です。

「思ったよりも費用がかさんでしまった」
「草むしりが大変で、足が遠のいてしまった」
「一度預けた遺骨が、二度と手元に戻ってこないとは知らなかった」

こうした悩みは、契約前の「ほんの少しの知識不足」から生まれます。樹木葬は、一度契約して埋葬してしまうと、やり直しがきかないことがほとんどです。

だからこそ、メリットだけでなく、リスクやデメリットを事前に正しく理解しておくことが、あなたとご家族を守る唯一の手段となります。

この記事では、きれいなパンフレットには載っていない「樹木葬のリアルな実態」を包み隠さず解説します。実際に後悔した事例から、契約前に必ずチェックすべきポイントまで、失敗しないための全知識を網羅しました。

読み終える頃には、漠然とした不安が消え、「自分たち家族にとってベストな選択は何か」が明確になっているはずです。後悔のない最期を迎えるために、ぜひ最後までお付き合いください。

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「墓じまい後の供養はどうする?永代供養・納骨堂・樹木葬の費用負担と後悔ポイント」

なぜ「樹木葬で後悔」する人が増えているのか?

近年、樹木葬の人気は急上昇していますが、それに比例するように「こんなはずではなかった」というトラブルの相談も増えています。なぜ、理想の供養として選んだはずの樹木葬で、後悔することになってしまうのでしょうか。その背景には、私たちが抱くイメージと、運営側の実態との間に大きな「ズレ」が存在するようです。

樹木葬のイメージと現実のギャップ(自然回帰の誤解)

多くの方が樹木葬に抱くイメージは、「大自然の森の中で、木の根元に抱かれて眠る」というものではないでしょうか。「土に還る」という言葉から、遺骨が自然と一体化するロマンチックな光景を想像されることと思います。

しかし、実際の日本の樹木葬、特に都市近郊の霊園や寺院で提供されているプランの多くは、そのイメージとは少し異なる構造になっています。

現実には、土の中に直接埋葬するのではなく、コンクリート製の「カロート(納骨室)」や「塩ビ管」の中に骨壷を納める形式が非常に多いのです。これは、限られた敷地内で効率的に多くの遺骨を埋葬するための工夫であり、衛生面や管理面での配慮でもあります。

「森の中で眠るつもりだったのに、実際はコンクリートの枡(ます)の中に並べられているだけだった」
「シンボルツリーは一本だけで、あとは無機質なプレートが並んでいるだけだった」

このように、情緒的な「自然回帰」への期待と、物理的な「埋蔵施設」としての現実とのギャップが、最初の違和感、そして後悔へと繋がっていきます。すべての樹木葬が「自然の土に還る」わけではないことを、まずは理解しておく必要があります。

急増するトラブルの背景にある「運営母体の質」

樹木葬ブームに伴い、これまで墓地運営の経験が浅い民間業者や、経営難の打開策として樹木葬を新設する寺院が急増しました。選択肢が増えるのは良いことですが、中には「売るだけ売って、あとの管理はずさん」という質の低い運営母体が混ざっている可能性があります。

お墓は、購入して終わりではありません。数十年、あるいは永代にわたって供養と管理が続く契約です。しかし、ブームに乗じて参入した業者の中には、将来の維持管理計画が甘く、数年で雑草だらけになってしまったり、スタッフの対応が悪化したりするケースが見受けられます。

よくあるトラブル

  • 契約時は親切だったが、納骨が終わったら連絡がつきにくくなった
  • 掃除が行き届いておらず、枯れた花が放置されている

こうした管理不全のリスクは、パンフレットやWebサイトの美しい写真だけでは見抜くことが難しく、実際に現地に足を運び、運営体制を厳しくチェックする視点が求められます。

「安易な墓じまい」からの乗り換えによる失敗パターン

現在ある先祖代々のお墓を撤去する「墓じまい」を行い、その遺骨を樹木葬へ移す(改葬する)というケースも増えています。しかし、ここで起きがちなのが、親族間の合意形成不足によるトラブルです。

「維持費がかかるし、継ぐ人もいないから」と、契約者の一存で墓じまいと樹木葬への移行を決めてしまった結果、後になって親戚から猛反発を受けることがあります。

「先祖代々の墓をなくして、他人と一緒の穴に入れるなんてとんでもない」
「お参りに行ったら、手を合わせる石塔もなくて、どこにおじいちゃんがいるのか分からない」

伝統的なお墓を重んじる親族にとって、形状が大きく異なる樹木葬は受け入れがたい場合があります。特に、遺骨を骨壷から出して合祀(ごうし)してしまうタイプの場合、二度と元のお墓に戻すことはできません。

安易な墓じまいは、あなた自身だけでなく、親族全員を巻き込んだ後悔の引き金になりかねません。費用や手間の削減だけを優先せず、関係者の心情への配慮が不可欠です。

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墓じまいや改葬にかかる具体的な費用や手続きについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
墓じまい後の供養はどうする?永代供養・納骨堂・樹木葬の費用負担と後悔ポイント

【実録】樹木葬で後悔した7つの具体的ケーススタディ

ここからは、実際に樹木葬を選んで後悔したという声を分析し、よくある失敗パターンを7つのケーススタディとして紹介します。これらは決して他人事ではなく、どの樹木葬でも起こりうるリスクです。

ケース1:【景観】「冬枯れで寂しい」「雑草で荒れ放題」

Webサイトやパンフレットに掲載されている樹木葬の写真は、間違いなく「一番きれいな季節(春や初夏)」の「晴れた日」に撮影されています。満開の桜や、青々とした芝生に囲まれた写真はとても魅力的ですが、植物には必ず「サイクル」があります。

冬の現実は厳しいものです。

多くの樹木葬で採用されている桜やハナミズキ、モミジなどの広葉樹は、冬になると葉をすべて落とします。芝生も種類によっては茶色く枯れてしまいます。冬にお参りに行った際、目の前に広がっていたのは、寒々しい枯れ木とむき出しの土、そして茶色くなった地面だけ……という光景にショックを受ける方は少なくありません。

「故人が寒そうで、申し訳ない気持ちになった」
「まるで荒れ地のようで、お参りに行く気が失せてしまった」

また、夏場の雑草問題も深刻です。特に「管理費不要」や「格安」を謳う施設では、人件費を削るために除草作業の頻度が極端に低い場合があります。自然に還るコンセプトとはいえ、背丈ほどもある雑草に埋もれた墓標を見るのは、遺族として辛いものです。

ケース2:【環境】「虫が多い」「足場が悪くてお参りできない」

「自然豊か」という言葉は、裏を返せば「虫や動物の生息地である」ということです。特に山林を利用した「里山型」の樹木葬では、この環境要因が大きなネックになります。

夏場のお墓参りは、蚊やアブ、時にはスズメバチとの戦いになることがあります。虫除けスプレーをしていても、ゆっくり手を合わせている余裕がないほどの虫に悩まされるケースがあります。

さらに、足元の環境も重要です。

「若い頃は良かったが、70代を過ぎて足腰が弱ってから、山道の坂を登ってお参りに行くのが困難になった」
「雨上がりに参拝に行ったら、ぬかるみで靴がドロドロになり、滑って転びそうになった」

自然に近い環境であればあるほど、バリアフリーとは程遠い状態になります。自分たちが元気なうちは良くても、10年後、20年後の身体の状態を想像したとき、その場所へ通い続けられるかどうかは冷静な判断が必要です。

ケース3:【参拝】「手を合わせる場所がない」「踏みつけられる」

従来のお墓には「墓石」という明確なシンボルがあり、そこに向かって手を合わせます。しかし、樹木葬、特に芝生の下に埋葬するタイプや、一本の木を共有するタイプの場合、「どこに向かって手を合わせればいいのか分からない」という戸惑いが生じます。

多くの樹木葬では、小さな金属プレートや石のプレートが地面に埋め込まれていますが、雪が積もったり、落ち葉が溜まったりするとすぐに見えなくなってしまいます。

さらに、心理的に抵抗感が強いのが「他人が区画の上を歩く」という点です。

通路と埋葬区画の境界が曖昧なデザインの場合、お参りに来た他の家族が、自分の家族が眠っている真上を踏んで歩いていく光景を目にすることがあります。

「悪気がないのは分かっているが、お父さんの頭の上を土足で踏まれているようで、見ていられなかった」

このような心理的なストレスは、契約前の図面確認だけでは気づきにくいポイントです。

ケース4:【遺骨】「取り出せない」「他人の骨と混ざる」

これは樹木葬において最も致命的で、かつ取り返しのつかない後悔です。

樹木葬には、骨壷のまま埋蔵するタイプと、遺骨を袋に移し替えたり、直接土に撒いたりするタイプがあります。特に、費用を抑えた「合祀(ごうし)・合葬(がっそう)型」を選んだ場合、遺骨は骨壷から取り出され、他の方の遺骨と一緒に大きな納骨室や土の中に埋葬されます。

注意

一度、土や他人の遺骨と混ざってしまったら、特定の個人の遺骨を取り出すことは物理的に不可能です。

「最初は費用重視で合祀を選んだが、後に母が亡くなったとき『やっぱり父と同じお墓に入れてあげたい』と思っても、父の遺骨はもう戻ってこなかった」
「改葬(お墓の引越し)をしたくても、遺骨がないので行政の許可が下りず、どうすることもできない」

「土に還る」というプロセスは、法的には「遺骨という物の消滅」を意味します。将来、気持ちが変わる可能性が1%でもあるなら、最初から合祀タイプを選ぶのは非常にリスクが高いと言えます。

ケース5:【費用】「管理費がかかる」「追加彫刻料が高い」

「樹木葬=安い」というイメージだけで飛びつくのは危険です。確かに墓石代はかかりませんが、トータルの出費で見ると、意外な高コスト体質であることが分かるケースがあります。

特に注意したいのが、「1人あたりの単価」と「追加オプション」です。

例えば、「1名30万円」の樹木葬を、夫婦と子供の計3名で利用しようとすると、単純計算で90万円かかります。さらに、それぞれに登録料や納骨手数料がかかる場合、総額は一般墓を建てるのと変わらないか、むしろ高くなることがあります。

また、初期費用に含まれていない「隠れコスト」にも注意が必要です。

隠れコストの例

  • 銘板彫刻料: 名前を刻むプレート代として、数万円〜10万円を追加請求される。
  • 年間管理費: 「永代供養だから不要」だと思っていたら、実は個別区画を使用している間(13年〜33年など)は毎年管理費の支払い義務があった。
  • 粉骨費用: 埋葬の条件として遺骨のパウダー化が必須で、業者への委託費用が別途かかった。

「見積もりが甘かったせいで、結局、予算オーバーになってしまった」という事態を避けるためにも、契約書に記載された「数字」はすべてシミュレーションする必要があります。

費用面で不安がある方や、明確な見積もりを取りたい方は、専門の業者に相談するのが確実です。

まずは複数の業者を比較検討することをおすすめします。

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ケース6:【人間関係】「親族に怒られた」「法要ができない」

お墓は個人の問題であると同時に、家の問題でもあります。あなた自身が「樹木葬でいい」と納得していても、親族全員が同じ価値観を持っているとは限りません。

よくあるのが、法要(供養の儀式)に関するトラブルです。

樹木葬の霊園では、環境保護や防火の観点から「火気厳禁」としている場所が多くあります。

「お盆にお線香をあげたいのに禁止されている」
「お花をお供えしても、動物が荒らすからとすぐに撤去されてしまう」

また、法要を営むスペースがない霊園も多く、四十九日や一周忌などの際にお経をあげてもらう場所がなく困った、という事例もあります。

「ちゃんとした供養をしてあげたかったのに」
「これではご先祖様に顔向けできない」

と親族から責められ、関係が悪化してしまうのは避けたいものです。

ケース7:【運営】「霊園が倒産・閉鎖」「管理者が変わった」

「永代供養」という言葉は、「未来永劫、永久に」という意味ではありません。あくまで「その霊園が存続する限り」という条件付きの契約です。

近年、民間企業が運営する霊園が増えていますが、経営不振による撤退や倒産のリスクはゼロではありません。もし運営会社が倒産した場合、名義上の経営主体である宗教法人(お寺など)に管理能力がなければ、霊園は荒廃し、「無縁墓地」のような状態になってしまう恐れがあります。

また、経営者が変わることでサービス内容が変更されることもあります。

「以前は常駐スタッフがいてきれいに掃除してくれていたのに、運営が変わってからスタッフがいなくなり、草ぼうぼうになった」
「管理費が突然値上げされた」

契約書には、こうした不測の事態に関する免責事項(運営側の責任逃れ)が小さく書かれていることがあります。契約前に運営母体の経営状況や信頼性を確認することは、非常に重要です。

タイプ別に見る「後悔」のリスク分岐点

樹木葬と一口に言っても、そのロケーションや埋葬スタイルによって、注意すべきリスクは異なります。ここでは「里山型」「公園型」「都市型」の3つのタイプ別に、後悔のリスク分岐点を解説します。

「里山型」のリスク:アクセス難と自然災害

人里離れた山林を利用し、自然のままの環境に遺骨を埋葬するタイプです。「真の自然回帰」を望む方には最適ですが、以下のリスクがあります。

注意点

  • アクセスの困難さ: 公共交通機関がなく、車が必須の場所がほとんどです。免許を返納した後や、高齢になってからのお参りは「ハイキング」や「登山」レベルの重労働になる可能性があります。
  • 自然災害の脅威: 山の斜面を利用している場合、近年の豪雨による土砂崩れのリスクを無視できません。万が一、墓域が崩落した場合、遺骨が流出し回収不能になるという最悪のケースも想定されます。獣害(イノシシなどによる掘り返し)のリスクもあります。

「公園型・ガーデニング型」のリスク:植栽の維持管理

霊園内の一角を整備し、植栽や花壇の周りに埋葬するタイプです。見た目が美しく人気がありますが、以下の点に注意が必要です。

注意点

  • 植栽の維持コスト: 美しい花壇を維持するには、プロによる剪定や植え替えが不可欠です。運営側の予算が削られると、一気に景観が悪化します。
  • デザインの陳腐化: 契約時はおしゃれに見えたガーデニングデザインも、数十年経つと時代遅れになったり、老朽化して見栄えが悪くなったりします。
  • 埋葬場所の特定: 芝生の下などに埋葬する場合、歳月とともに目印が分からなくなり、「だいたいこの辺り」という曖昧な参拝になりがちです。

「都市型(ビル内・寺院内)」のリスク:窮屈さと合祀の早さ

都心の寺院の境内や、専用施設内にシンボルツリーを配置するタイプです。アクセスは抜群ですが、都市部ならではの悩みがあります。

注意点

  • スペースの窮屈さ: 限られた土地に多くの区画を設けるため、隣の区画との距離が非常に近く、まるで「コインロッカー」や「駐輪場」のように感じてしまうことがあります。
  • 合祀までの期間が短い: 回転率を高めるため、個別安置期間(骨壷のまま置いておける期間)が「7年」や「13年」と短めに設定されていることが多く、すぐに合祀墓へ移されてしまう可能性があります。

ご自身のライフスタイルや、将来のお参り頻度に合わせて、どのタイプのリスクなら許容できるかを考えることが大切です。

大手流通グループが提供するサービスなど、信頼性の高い運営母体を選ぶこともリスク回避の一つです。

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樹木葬の「その後」はどうなる?時系列シミュレーション

契約時には「今」のことしか目に入りませんが、お墓は何十年も続くものです。ここでは、契約してから数十年後までの流れを時系列でシミュレーションし、それぞれのタイミングで発生しうるリスクを確認します。

契約直後〜納骨まで:生前管理費の落とし穴

生前に自分の樹木葬を契約(生前契約)した場合、契約したその日から管理費の支払いが発生することがあります。

例えば、60歳で契約し、85歳で亡くなるまでの25年間、年間1万円の管理費を払い続けるとすると、それだけで25万円の出費になります。

「死後の費用を抑えるために樹木葬にしたのに、生きている間の負担が重い」ということにならないよう、生前契約期間中の管理費の有無は必ず確認しましょう。

納骨後13年〜33年:個別安置期間の終了と「合祀」

多くの樹木葬(個別埋葬型)には、「使用期限」があります。よくあるのが「13回忌まで」「33回忌まで」といった期間設定です。

この期間が終了すると、どうなるのでしょうか?

一般的には、個別の区画から遺骨が取り出され、霊園内の「永代供養墓(合祀墓)」へ移されます。

ここで重要なのは、このプロセスが「自動的」に行われることです。遺族への連絡なしに行われる契約になっている場合もあります。「いつの間にかお墓がなくなっていた」と驚かないよう、期間終了後の流れを親族間で共有しておく必要があります。

最終的な姿:土に還るのか、骨壺のままか

最終的に遺骨がどうなるかは、採用されている骨壷の素材や埋葬方法によって異なります。

step
1
陶器の骨壷

半永久的に分解されません。合祀される際、骨壷から出して撒かれるか、骨壷ごと巨大な納骨室に積まれていくことになります。

step
2
分解性骨壷・布袋

土中の微生物によって分解される素材であれば、数年から数十年かけて土に還ります。ただし、コンクリートのカロート内では分解が進まないため、本当に土に触れる構造かどうかの確認が必要です。

「土に還る」と謳っていても、実際はコンクリートの底に骨壷が並んでいるだけで、何十年経ってもそのまま……というケースもあります。「最終的に遺骨はどうなるのか?」という質問を、遠慮せずに担当者にぶつけてみてください。

契約前に見抜く!失敗しないための「現地見学チェックリスト」

Webサイトの情報だけで契約するのは、あまりに無謀です。必ず現地に足を運び、以下のポイントを「ご自身の目」で確認してください。特に、案内スタッフが説明したがらない「不都合な真実」を見抜く視点が重要です。

チェックリスト

【アクセス・立地】雨の日や数十年後を想定して見るべき点

  • [ ] 雨の日の水はけ: あえて雨の日や、雨上がりの翌日に行ってみてください。敷地内に大きな水たまりができていたり、ぬかるみがひどかったりしませんか? 水はけが悪い場所は、カロート(納骨室)が水没するリスクが高いです。
  • [ ] バリアフリー導線: 駐車場からお墓まで、階段や急な坂道はありませんか? 車椅子でもお参りができるか、手すりは設置されているかを確認しましょう。10年後、自分や配偶者が足腰を痛めている可能性を考慮してください。
  • [ ] 公共交通機関: 「駅からバスで15分」とあっても、そのバスが1時間に1本しかない場合もあります。タクシーを呼ぶのが容易な場所かどうかも確認ポイントです。

【管理状況】枯れた花や掃除の頻度で見抜く運営の質

  • [ ] 枯れた花の放置: 共有スペースや他の利用者の区画を見てください。枯れた花がいつまでも放置されていませんか? これは管理体制の杜撰(ずさん)さを示すわかりやすいサインです。
  • [ ] 雑草の状況: 植栽の周りに雑草が生い茂っていませんか? 「自然の状態」と「手入れ不足」は違います。
  • [ ] スタッフの対応: すれ違うスタッフは挨拶をしてくれますか? 質問に対して曖昧な回答で濁しませんか? 運営スタッフの質は、そのまま将来の安心感に直結します。

【契約内容】契約書の「小さな文字」に潜むリスク

  • [ ] 免責事項: 「天災による損害は責任を負わない」等の免責範囲が広すぎないか確認してください。
  • [ ] 管理費の値上げ: 「経済情勢の変化により管理費を改定できる」という条項があるか。ある場合、上限や通知方法はどうなっているか。
  • [ ] 合祀のタイミング: 「契約から○年」なのか「納骨から○年」なのか。生前契約の場合、「契約から」だと、亡くなった時にはすでに個別期間が終了しているという最悪のケースもあり得ます。

【供養スタイル】線香・供物・法要の可否確認

  • [ ] 火気の使用: 線香やロウソクは使えるか。専用の香炉があるか、それとも完全に禁止か。
  • [ ] お供え物: 花やお菓子をお供えできるか。持ち帰りが必須か。
  • [ ] 法要スペース: 年忌法要を行いたい場合、法要室や本堂を使わせてもらえるか。その際の費用はいくらか。

樹木葬が「向いている人」と「やめたほうがいい人」

ここまでリスクばかりをお伝えしましたが、樹木葬自体が悪いわけではありません。向き不向きがはっきりしている埋葬方法なのです。ご自身がどちらに当てはまるか、冷静に判断してみてください。

絶対にやめたほうがいい人の特徴3選

注意(やめたほうがいい人)

  • 代々のお墓を守り続けたい人: 「家」としての墓を重視し、子孫に継承させたいと考えているなら、一代限りの性格が強い樹木葬は不向きです。
  • 親族の合意が取れていない人: 反対する親族がいる状態で強行すると、後々まで遺恨を残します。
  • 個別の墓標や遺骨にこだわる人: 「ここに眠っている」という明確な石塔が欲しい人や、将来的に遺骨を別の場所に移す可能性がある人は、一般墓を選ぶべきです。

樹木葬で満足できる人の特徴3選

ポイント(向いている人)

  • 承継者がいない(お墓を継ぐ人がいない)人: 子供がいない、あるいは子供に負担をかけたくないという方には、永代供養がついている樹木葬は最適です。
  • 自然回帰への強い思いがある人: 「死後は自然の一部になりたい」という明確な死生観を持っている方には、精神的な充足感が得られます。
  • 宗教・宗派にとらわれたくない人: 伝統的な檀家制度や宗教儀式に縛られず、自由な形式で眠りたい方に向いています。

迷った時の判断基準:一般墓・永代供養墓との比較表

項目 樹木葬 一般墓 永代供養墓(合祀墓)
費用相場 30万〜100万円 150万〜300万円 5万〜30万円
維持費 不要〜年間1万円 年間5千円〜2万円 原則不要
承継 原則不要(一代限り) 必要(代々継承) 不要
遺骨 将来的に合祀される可能性大 ずっと個別に安置 最初から他と混ざる
お参り 制限あり(線香不可など) 自由 共有スペースで参拝
向いている人 自然志向・継承者なし 伝統重視・家族が多い 費用重視・身寄りなし

自分だけで判断がつかない場合は、専門家に相談して「診断」してもらうのも一つの手です。

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よくある質問(Q&A)

最後に、樹木葬を検討している方からよく寄せられる質問にお答えします。

Q. ペットと一緒に入れますか?後悔しませんか?

A. ペット可の区画は増えていますが、周囲への配慮が必要です。

「ペットも家族だから」と一緒に入れる樹木葬を選ぶ方は多いです。しかし、中には「動物と同じ墓なんて」と嫌悪感を持つ利用者もいます。ペット専用区画が完全に分かれているか、トラブルにならないかを確認しましょう。また、ペットを先に入れた場合の管理費なども確認が必要です。

Q. 夫婦だけで入りたいですが、一方が残された場合は?

A. 二人目が入るまでの期間、区画がどう維持されるか確認してください。

夫婦用の区画(ペア割など)の場合、お一人が亡くなってから、もうお一人が亡くなるまで数年〜数十年空くことがあります。その間、個別の区画として維持されるのか、管理費は誰が払うのか、残された方が管理できなくなった場合はどうなるのか、契約書で詳細を確認する必要があります。

Q. 樹木が枯れたら自分で植え替えてもいいですか?

A. 基本的に勝手な植栽は禁止されています。

全体の景観を統一するため、利用者が勝手に植物を植えることは禁止されている霊園がほとんどです。枯れた場合の植え替え保証(霊園側の負担で行うか、利用者負担か)を確認しておきましょう。

Q. 雪国での樹木葬は可能ですか?

A. 積雪時の埋没リスクや冬期閉鎖に注意が必要です。

豪雪地帯では、冬の間お墓が数メートルの雪の下に埋もれてしまい、春までお参りできないことがあります。また、雪の重みでプレートが割れたり、樹木が折れたりするリスクもあります。雪国ならではの管理体制(除雪の有無など)を確認してください。

Q. 檀家になる必要はありますか?宗教トラブルは?

A. 多くの樹木葬は「宗教不問」ですが、一部寺院では条件があることも。

民間霊園であれば宗教フリーが基本ですが、寺院が運営する場合、「檀家にはならなくていいが、法要はそのお寺の宗派で行う」「入檀料は不要だが、護持会費は必要」といった条件がつくことがあります。契約前に「檀家になる必要があるか」「寄付金の要請はあるか」を明確に聞いておきましょう。

Q. 遺骨は粉骨(パウダー化)必須ですか?

A. 埋葬方法によりますが、スペースの都合で必須の場所も多いです。

小さな区画に納めるため、あるいは早く土に還すために、遺骨を粉砕してパウダー状にすることを条件としている樹木葬は多いです。「骨を砕くなんて可哀想」と心理的な抵抗感を持つ方もいますので、ご自身の気持ちと相談してください。

Q. 子供がいないのですが、死後の契約は誰がしますか?

A. 死後事務委任契約や生前契約を活用しましょう。

ご自身で生前契約を結んでおくのが基本ですが、亡くなった後の納骨手続きや行政への届出をしてくれる人がいない場合は、司法書士や弁護士、または専門の代行業者と「死後事務委任契約」を結んでおくことをおすすめします。霊園によっては、死後の納骨までサポートしてくれるプランを用意しているところもあります。

まとめ

樹木葬は、現代のライフスタイルに合った素晴らしい選択肢の一つです。しかし、「自然」「安い」「楽」というイメージだけで安易に飛びつくと、取り返しのつかない後悔をするリスクも潜んでいます。

樹木葬で後悔しないための3つの鉄則

  • 「遺骨は戻らない」という覚悟を持つ: 合祀や土への直埋葬は不可逆です。
  • 「冬の姿」と「雨の日」を確認する: 一番悪いコンディションでも許容できるか確認してください。
  • 「総額」と「契約内容」を精査する: 隠れコストや免責事項を見落とさないでください。

これらを踏まえた上で、それでも「樹木葬が良い」と心から思えるのであれば、それはあなたにとって最高の選択になるはずです。

Next Action: まずは「家族会議」から

いきなり見学に行く前に、まずはご家族で「お墓に何を求めるか(予算・立地・供養スタイル)」を話し合い、条件を書き出してみましょう。その上で、必ず「天気の悪い日」や「冬場」を狙って現地見学に行き、記事内で紹介したチェックリストを活用して、厳しい目でチェックを行ってください。

あなたとご家族が、心から安心できる終の棲家を見つけられることを願っています。

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