
「兵庫県内の市町村で、解体費用を補助してくれる制度はないのだろうか」
このように、お墓の管理や継承問題で悩み、少しでも金銭的な負担を減らしたいと考えていませんか?
少子高齢化が進む中、墓じまいは決して他人事ではなく、多くの家庭が直面する切実な課題です。しかし、いざ調べ始めると「補助金が出るらしい」という噂と、「実際には出ない」という情報が錯綜し、何が真実なのか分からずに立ち止まってしまう方が後を絶ちません。
結論から申し上げますと、残念ながら兵庫県内のほとんどの自治体において、墓石の撤去工事費そのものを支給する「補助金」は存在しません。しかし、ここで諦めるのは早計です。
この記事では、表面的な「補助金の有無」だけでなく、行政の公式サイトの奥に眠る「永代使用料の返還ルール」や、費用を劇的に抑えるための具体的な「コストダウン術」を網羅的に解説します。
神戸の山間部特有の事情から、最新の合葬墓事情まで、兵庫県で賢く墓じまいを行うための知識をすべて詰め込みました。この記事を読み終える頃には、あなたが負担すべき適正な費用と、今すぐ取るべき行動が明確になるはずです。
兵庫県で「墓じまい」の補助金は出るのか?【結論と現実】
墓じまいを検討する際、誰もが最初に期待するのが「行政からの支援」です。空き家の解体に補助金が出るように、お墓の解体にも公的なサポートがあるのではないかと考えるのは自然なことです。しかし、兵庫県における現実は非常にシビアな側面と、知られていない救済措置の二面性を持っています。まずはその全体像を正しく理解しましょう。
結論:解体工事費が直接出る自治体は「ほぼゼロ」
2026年現在、兵庫県内の主要な自治体(神戸市、姫路市、西宮市、尼崎市、明石市、加古川市、宝塚市など)において、個人の「墓じまい(墓石の撤去・解体処分)」にかかる工事費用を直接的に補填する、いわゆる現金給付型の「補助金」や「助成金」制度は、原則として存在しません。
多くの一般消費者は、「空き家対策特別措置法」に基づく空き家解体補助金や、耐震改修補助金のようなイメージで、「無縁仏対策として、お墓の解体にも行政から何らかの金銭的支援があるはずだ」と期待を抱きがちです。実際にインターネット上には「自治体によっては数十万円が出る」といった情報が散見されますが、これは千葉県市川市や群馬県太田市など、ごく一部の特異な自治体の事例が混同されているケースが大半です。
なぜ補助金が出ないのか?
お墓は民法上の「祭祀財産」という私的な性質が極めて強く、行政サービスには「受益者負担の原則」が適用されるためです。
個人の信仰や家庭の事情による財産処分(撤去)に対し、税金を投入することは公平性の観点から妥当ではないという判断が一般的です。
特に兵庫県は、阪神・淡路大震災以降の財政再建やインフラ維持に多額の予算が割かれてきた歴史的背景もあり、私有地や寺院墓地はもちろんのこと、自治体が運営する公営霊園であっても「区画の原状回復(更地化)費用は全額利用者負担」というルールが徹底されています。まずは「工事費の補助が出る」という淡い期待を捨て、現実的な予算計画を立てる必要があります。
しかし「永代使用料の返還」で費用を賄える可能性は大
「工事費の直接補助」という名目の制度はありませんが、ここで落胆する必要はありません。兵庫県内の一部の公営霊園では、墓地を更地にして返還することで、過去に支払った「永代使用料(墓地使用料)」の一部が戻ってくる「還付制度」が存在します。
これを実質的な「隠れた補助金」と捉え、活用することが兵庫県での墓じまい戦略の核心となります。場合によっては、これが数十万円規模のキャッシュバックとなり、解体工事費用を相殺、あるいはプラス収支にできる可能性すらあります。
永代使用料とは?
お墓の土地を借りる際に契約時に一括で支払う「永代借地権」の対価です。通常、民間霊園や寺院墓地では、契約解除時にこの権利を放棄しても、支払った金銭は一切返還されないのが通例です(契約約款に明記されています)。
しかし、公営霊園においては、条例により「使用権の返還に伴う既納使用料の還付」が定められている場合があります。
ただし、この制度は自治体によって適用条件が天と地ほど異なります。「使用許可から〇年以内」「未使用(一度も遺骨を入れていない)に限る」といった厳しい条件が付く自治体(神戸市など)と、比較的条件が緩く、使用済み区画でも一部返還される自治体(明石市、姫路市など)に分かれます。自身の墓地がどの条件に当てはまるかを正確に把握しないと、皮算用で大きな損失を被ることになります。
生活保護受給者向けの「葬祭扶助」とは
経済的に極端に困窮している世帯(生活保護受給世帯など)に対しては、生活保護法に基づく「葬祭扶助」が適用されるケースがあります。しかし、これはあくまで「今、亡くなった人の葬儀・火葬」を行うための最低限の費用(直葬費用など)を支給する制度であり、「すでにあるお墓を片付ける費用(墓じまい)」には原則として適用されません。
ただし、極めて例外的な措置として、お墓の維持管理ができず、放置すれば倒壊など公衆衛生上の著しい問題が生じる場合や、身寄りがなく無縁仏化が避けられない場合に、福祉事務所のケースワーカーの判断で、最低限の「改葬費用(遺骨の取り出しと合葬墓への移動費)」が認められるケースがごく稀に存在します。
これは権利として請求できるものではなく、個別の事情に基づく行政の裁量による特例措置であるため、一般の補助金とは明確に区別して考える必要があります。「生活保護だからタダでお墓をしまえる」と考えるのは危険です。まずは担当のケースワーカーに現状を相談することから始まります。
「空き家解体補助金」とお墓の関係
実家の整理を進める中でよくある誤解が、「実家の空き家を解体するついでに、敷地内にあるお墓(屋敷墓)や、近所の墓地の墓石も処分したい」と考え、空き家解体補助金を充てようとすることです。結論から言えば、自治体が提供する「空き家解体補助金」や「老朽危険家屋除去支援事業」の対象経費に、墓石の撤去費用を含めることはできません。
空き家補助金は、「倒壊による近隣への物理的な危険防止」や「地域の景観・住環境の保全」を目的としており、補助対象は建物本体、基礎、門塀などの工作物に限られます。墓石は宗教的対象物であり、かつ倒壊のリスクが家屋と比較して低いため、兵庫県内の丹波市や神戸市などのガイドラインにおいて、明確に「補助対象外経費」として除外規定が設けられています。
解体業者に見積もりを依頼する際は、家屋の解体費用と、お墓の撤去費用を明確に分けて算出してもらい、補助金申請には家屋分のみを計上する必要があります。これを混同して申請すると、虚偽申請とみなされるリスクがあるため十分な注意が必要です。
【地域別】兵庫県の主要都市における支援制度・還付ルール一覧
兵庫県は広く、自治体によって公営霊園の運営ルールが全く異なります。「隣の市ではお金が戻ってきたのに、うちの市では戻ってこない」ということが頻繁に起こります。ここでは主要都市ごとの現状と注意点を深掘りします。
神戸市(鵯越墓園・舞子墓園など)の還付ルール
神戸市は全国でも有数の大規模公営墓地(鵯越墓園、舞子墓園、西神墓園)を有していますが、その「墓じまい」に対するスタンスは非常にシビアです。神戸市立墓園における「永代使用料の還付」は、条例によって非常に厳しい条件が課されており、多くの「墓じまい(改葬)」検討者にとっては適用外となる可能性が高いのが現実です。
神戸市の条例(神戸市営墓地条例施行規則第9条)では、「既納の使用料は還付しない」が原則です。例外として還付が認められるのは、「使用許可を受けたが、まだ墓石を建てておらず、遺骨も埋蔵していない(未使用)」場合において、許可日から1年~3年以内に返還したケースに限られます。
具体的には、墓石未設置なら3年以内、設置済みなら1年以内に返還した場合に限り50%が戻りますが、そもそも「墓じまい」を検討する層は数十年使用しているケースが大半であるため、この条件に当てはまることは稀です。つまり、「長年お参りしてきたお墓を閉じる」という一般的な墓じまいにおいては、数十年前に支払った永代使用料が戻ってくることはありません。
神戸市で費用を抑えるために期待すべきは還付金ではなく、後述する「市立の合葬墓(鵯越合葬墓)」を利用することによる、これからの供養費用の圧縮です。
姫路市(名古山霊苑など)の対応
姫路市は、兵庫県内でも比較的「還付」に積極的な運用がなされているエリアです。特に名古山霊苑(なごやまれいえん)に関しては、地元の石材店等の情報からも「取得した時の永代使用料の半額を返してもらえる」というケースが多く報告されています。
名古山霊苑は広大な敷地を持つ市営霊園であり、多くの市民が利用しています。ここの運用規則では、返還時に「霊苑使用料還付申請書」を提出するフローが確立されています。実際に、解体費用をこの還付金で補填できたという事例も存在します。
注意
2025年4月からは、同じ姫路市営の片山霊園において「永代使用料の還付割合が変わる」というアナウンスがなされており、制度が変更の過渡期にある可能性があります。また、姫路市外居住者が使用していた場合、当初の使用料が市内居住者より50%増しになっているケースがあり、還付計算もそれに基づいているかなど、個別の確認が必須です。
尼崎市(弥生ヶ丘墓園など)の還付・合葬支援
尼崎市の弥生ヶ丘墓園(やよいがおかぼえん)では、墓地返還に伴う永代使用料の還付は、原則として行われていません。「既納の使用料は還付しない」というのが基本ルールであり、これは多くの公営霊園と共通しています。土地の使用権に対する対価は戻らないという認識が必要です。
しかし、尼崎市には独自の「年間使用料(管理料)」の還付制度があります。弥生ヶ丘墓園では管理料を年払いで納めますが、年度の途中で墓地を返還した場合、未経過分(返還完了の翌月以降分)が月割りで計算され、還付されます。金額としては数千円程度にしかならないことが多いですが、少しでも取り戻せる権利は行使すべきです。
また、尼崎市では墓じまい後の受け皿として「合葬式墓地」を用意しており、改葬手続きとセットで案内されています。還付金には期待できませんが、市営の合葬墓を利用することでトータルコストを抑える方向で検討しましょう。
西宮市(満池谷・甲山など)の現状
西宮市の市営墓地(満池谷、甲山、白水峡、上田、中津など)においても、墓じまいによる永代使用料の還付制度に関する積極的な情報はありません。条例上も原則不還付のスタンスを取っており、更地返還が絶対条件となります。
しかし、西宮市は「墓じまい」の受け皿整備に非常に力を入れています。特筆すべきは、令和5年(2023年)から白水峡公園墓地内に大規模な「合葬式墓地」を新設・供用開始した点です。ここの合葬室の使用料は1体5万円と、県内でも最安クラスの設定となっており、市内の一般墓を墓じまいしてここに移すことが、最も経済的な選択肢として推奨されています。
西宮市営墓地を返還する際は、必ず「墓地返還届」を斎園管理課(市役所本庁)へ提出する必要があり、現地管理事務所では手続きできない点に注意が必要です。たらい回しにされないよう、事前に提出先を確認しておきましょう。
その他のエリア(明石・加古川・宝塚)の傾向
その他の主要都市についても、特徴的なルールがあります。
ポイント
- 明石市(石ケ谷墓園):
ここは兵庫県内でも珍しく、明確な還付ルールが存在します。「使用許可後5年以内」であれば、使用料および管理料の半額が還付されます。ただし、6年以上経過している場合は対象外となるため、長期使用者の墓じまいには適用されません。 - 加古川市(日光山墓園):
基本的に使用料の還付はありません。条例には「特別の理由がある場合」や「5年以内」なら半額還付の規定があるようですが、5年を超えての使用(一般的な墓じまい)では原則対象外となります。 - 宝塚市(長尾山霊園):
ここが最も注意が必要です。かつては強力な「半額還付制度」があり、「宝塚はお金が戻る」と有名でした。しかし、条例改正により令和5年(2023年)末をもってこの制度(平成28年以前の契約者対象)は完全に廃止されました。現在は、使用許可から5年以内の更地返還に限るなど条件が厳格化されており、ネット上の古い情報を信じると痛い目を見ます。
補助金以外で「墓じまい費用」を安くする5つの方法
補助金や還付金が期待できない場合でも、費用を安くする方法は残されています。墓じまいの費用は「定価」があるようでなく、やり方次第で数十万円単位の差が生まれます。ここではプロが実践する5つのコストダウン術を解説します。
1. 「相見積もり」で指定石材店以外の最安値を探す
墓じまい費用が高騰する最大の要因は、競争原理が働かない「言い値」での発注です。特に民間霊園では「指定石材店制度」があり、特定の業者しか工事ができない縛りがありますが、公営霊園(神戸市営、姫路市営、尼崎市営など)では、原則としてどこの石材店を使っても自由です。
1社だけの見積もりで決めるのではなく、必ず3社程度から相見積もりを取ることで、10万円〜30万円のコストダウンが可能になります。特に、墓石店には「お墓を建てるのが得意な店」と「解体が得意な店」があり、後者を選ぶと重機の使い方がうまく、効率的に安く済む傾向があります。また、最近ではネット集客型の「墓じまい代行業者」も参入しており、地元の石材店とこれらを競わせることが重要です。
2. 自治体の「合葬墓(合祀)」を利用して永代供養費を下げる
お墓を解体した後、遺骨をどうするか(改葬先)が費用の大部分を占めます。民間の納骨堂や樹木葬を選ぶと、安くても30万円、高いと100万円以上かかります。これに対し、今あるお墓と同じ自治体が運営する「合葬式墓地(合祀墓)」へ移動させれば、1体あたり5万〜10万円程度で済みます。
神戸市の鵯越合葬墓や、西宮市の白水峡合葬式墓地などが代表的です。これらは自治体が永続的に管理するため、経営破綻のリスクがなく、管理費も不要になるケースが多いため、経済的メリットが絶大です。「個別の墓標」にこだわらないのであれば、最強のコストダウン策といえるでしょう。
3. 「行政手続き」を自分でやり代行費用(3〜5万)をカット
墓じまいには自治体への「改葬許可申請」が必要ですが、これを行政書士や石材店に丸投げすると、1件あたり3万円〜7万円の代行手数料を取られることがあります。しかし、兵庫県内の自治体(神戸市、西宮市、尼崎市など)の申請書は、A4用紙1枚程度の非常にシンプルなものです。
記入項目も「死亡者の本籍・氏名」「新しい納骨先」など、戸籍謄本と受入証明書があれば誰でも書ける内容です。多くの自治体で郵送申請も可能なため、自分でやれば手数料(数百円)だけで済み、数万円の節約になります。役所の窓口も親切に教えてくれるため、恐れずに自分でトライしてみましょう。
4. お墓の「魂抜き」のお布施額を調整する
お墓を解体する前には、宗教儀礼として「閉眼供養(魂抜き)」を行うのが一般的です。菩提寺(檀家になっている寺)がある場合は、住職に相談してお布施を渡しますが、相場は3万〜10万円と幅があり、さらに「お車代」「御膳料」などが追加されることもあります。
一方、公営霊園などで特定のお寺と付き合いがない場合や、すでに離檀している場合は、インターネットの「僧侶派遣サービス(お坊さん便など)」を利用すれば、定額(3.5万円〜)で依頼できます。これにより、不明瞭な「お気持ち」による高額出費や、追加のお車代を防げます。お寺とのしがらみがない公営霊園ならではの節約術です。
5. 閑散期(真夏・真冬)を狙って値引き交渉
石材店には明確な繁忙期(お盆・お彼岸前)と閑散期(真夏・真冬)があります。お盆前などは工事が立て込み、値引き交渉に応じてもらいにくいですが、逆に1月〜2月や7月〜8月の閑散期に、「急がないので、そちらの空いている時期(職人の手が空いている時)に合わせて安くしてほしい」と交渉することで、端数カットや10%程度の値引きを引き出せる可能性があります。
石材店の職人は天候に左右される仕事であり、仕事が薄い時期には「遊ばせておくよりは」と、安価でも工事を受注したい心理が働きます。工期に余裕がある場合は、ぜひこの交渉術を使ってみてください。
兵庫県での墓じまい費用相場【2026年最新データ】
実際に兵庫県で墓じまいをする場合、どれくらいの費用を見込んでおくべきでしょうか。ここでは項目ごとの最新相場を解説します。
| 費用項目 | 相場(目安) | 備考・詳細 |
|---|---|---|
| 墓石の解体・撤去 (平地) |
8万〜12万円 (1㎡あたり) |
トラックが横付けできる場合。 |
| 墓石の解体・撤去 (難所) |
15万〜25万円以上 (1㎡あたり) |
階段、傾斜地、狭小路など。 神戸の山間部は高額になりやすい。 |
| 公営合葬墓 (改葬先) |
5万〜10万円 (1体あたり) |
兵庫県内では最も安く確実。 |
| 海洋散骨 | 5万〜20万円 (一式) |
神戸沖や大阪湾など。 |
| 民間樹木葬 | 20万〜80万円 | 個別プレート有りは高額になる傾向。 |
| 納骨堂 | 30万〜100万円 | ロッカー式、仏壇式など多様。 |
| 行政手数料 | 数千円程度 | 改葬許可申請、埋蔵証明書など。 |
想定外の出費を防ぐ「見積もりチェックポイント」
「総額〇〇万円」という見積書でも、中身をよく見ないと後で追加請求されるトラブルが多発しています。契約前に以下の項目が含まれているか必ず確認してください。
見積もり確認リスト
- 残土処分費: 墓石の下にある土の処分費が含まれているか。
- 基礎解体費: 地中のコンクリート基礎まで完全に撤去する費用が含まれているか(上物だけだと返還時に検査不合格になります)。
- 重機回送費: 遠方の業者の場合、重機を運ぶだけで高額になることがあります。
- 閉眼供養手配: 含まれているか、自分で手配するか。
- 遺骨洗浄(洗骨): 骨が泥まみれの場合、合葬墓に入れる際に洗浄・乾燥が必須条件となる場合があります。
墓じまいを進めるための具体的7ステップ
いざ墓じまいをしようと思っても、何から始めればいいか迷うものです。ここではスムーズに進めるための7つのステップを紹介します。
step
1親族間での合意形成(トラブル防止)
墓じまいは一人で決めてはいけません。必ず親族全員に連絡を取り、同意を取り付けます。合意内容はメモに残しましょう。
step
2お寺への相談・離檀(民間霊園の場合)
寺院墓地の場合、「相談」という形で低姿勢に切り出し、離檀の承諾を得ます。
step
3新しい納骨先の決定(受入証明書の取得)
次の行き先(合葬墓、散骨など)を決め契約し、「受入証明書」を取得します。これが次の手続きで必要です。
step
4兵庫県の各自治体へ「改葬許可申請」
現在のお墓がある市町村の役所で「改葬許可申請書」を提出します。郵送でも可能です。
step
5閉眼供養(魂抜き)の実施
お墓の前で僧侶にお経をあげてもらい、墓石から魂を抜きます。
step
6解体工事・更地化
石材店が工事を行い、遺骨を取り出します。工事後は更地写真を撮り、管理者の確認を受けます。
step
7永代使用料の「還付申請」(公営のみ)
工事完了後、対象者(明石市などで条件を満たす人)は還付金の申請を行います。
兵庫県特有の「墓じまいトラブル」と対策
地域性や制度の違いにより、兵庫県ならではのトラブルも存在します。事前の対策が重要です。
神戸エリアの「難所」における高額見積もり
神戸は「坂の街」であり、墓地も六甲山系の中腹や急斜面に作られていることが多いです。こうした場所では重機(クレーン車)が入れず、石材を職人が背負って運ぶか、小型の運搬機を使うしかありません。これにより、通常10万円の工事が30万〜50万円に跳ね上がることがあります。
対策: 1社だけで判断せず、「難所工事が得意な業者」を探すこと。業者によっては、独自の機材(カニクレーンやモノレール)を持っており、人力手運びより安くできる場合があります。
民間霊園の「指定石材店制度」の壁
民間の霊園や寺院墓地では、「工事はその霊園が指定した石材店しか行えない」という特約(指定石材店制度)があることがほとんどです。これにより相見積もりができず、競争がないため相場の2〜3倍の解体費用を請求されることがあります。
対策: 「高すぎるので払えない。それなら墓じまいを諦めて放置する(管理費も払わない)」と伝えると、寺院や管理者が困るため(無縁仏化を防ぎたい)、指定店に値引きを働きかけてくれる場合があります。諦めずに交渉しましょう。
離檀料(りだんりょう)を巡るお寺との摩擦
寺院墓地を撤去して檀家を辞める際、「今までお世話になったお礼」として離檀料を請求されることがあります。相場は3万〜20万円程度ですが、稀に法外な要求をされるケースがあります。
対策: 法的根拠はないため支払う義務はありませんが、支払わないと改葬許可に必要な「埋蔵証明書」への署名を拒否されることがあります。「弁護士に相談します」「本山に問い合わせます」と冷静に対応することが重要です。
成功事例・失敗事例(ケーススタディ)
【成功】神戸市営墓地を返還し、還付金で散骨費用を賄えたAさん
神戸市鵯越墓園の「未使用地(墓石なし)」を持っていたAさん。管理事務所に相談したところ、許可から3年以内だったため、使用料の50%(約30万円)が還付されました。この資金を使い、民間業者に依頼して「海洋散骨(約15万円)」を行い、残りを手元供養品の購入に充てることができました。
【成功】複数社見積もりで、当初より30万円安く解体できたBさん
西宮市の山間部にある共同墓地を持つBさん。最初の業者には「難所なので60万円」と言われました。諦めずにネットで「難所対応」を謳う業者3社に見積もり依頼したところ、そのうち1社が「小型のカニクレーンを使えば吊れるので、30万円でいい」と回答。相見積もりの重要性を痛感しました。
注意
【失敗】事後報告になり、親族と絶縁状態になったCさん
長男であるCさんが独断で実家の墓じまいを決行。費用は全額負担しましたが、事後に妹へ報告したところ、「お墓参りを楽しみにしていたのに!勝手に遺骨を動かすなんて信じられない」と激怒され、絶縁状態に。お金の問題ではなく、感情の問題でした。
【失敗】還付金の申請期限を過ぎてしまい、数十万円損したDさん
宝塚市長尾山霊園を利用していたDさん。「長尾山はいつでも半額戻る」という古い口コミを信じており、手続きを先送りにしていました。しかし、令和6年になってから返還手続きに行ったところ、「昨年末で制度は終わりました」と告げられ、戻ってくるはずだった数十万円がゼロに。最新情報の確認不足が招いた悲劇です。
よくある質問(Q&A)
Q. 墓じまいが終わった後に補助金や還付金を申請できますか?
原則できません。特に還付金については、墓地の返還届とセットで処理されることが多く、手続き完了後(権利消滅後)に遡って請求することは困難です。必ず「工事前・返還届提出時」に窓口で確認し、申請してください。
Q. 兵庫県外に住んでいますが、手続きのために帰省する必要がありますか?
必ずしも必要ありません。行政手続き(改葬許可申請)は郵送で可能です。石材店との打ち合わせも電話やメール、LINEで現場写真をやり取りして進められます。ただし、最後の「遺骨の引き取り」だけは、配送(ゆうパック等)を使うか、一度行く必要があります。
Q. 戻ってきた「永代使用料」に税金はかかりますか?
原則かかりません。永代使用料の還付金は、利益ではなく「預けていたお金が戻ってきた」性質のもの、あるいは祭祀財産に関するものとみなされ、所得税や贈与税の対象にはならないのが一般的です。
Q. 遺骨を勝手に自宅で保管(手元供養)しても良いですか?
法律上問題ありません。遺骨を自宅に置くこと自体は違法ではありません。ただし、庭に埋めると「墓地埋葬法違反(不法投棄)」になります。必ず骨壺に入れた状態で、家の中(仏壇など)に安置してください。
Q. 「墓じまい代行」に丸投げするといくら高くなりますか?
自分でやるより5万〜10万円程度高くなります。しかし、役所手続き、石材店手配、寺院交渉、遺骨の配送などを全てやってくれる手間を考えれば、遠方在住者にとっては「安い」と感じることもあります。時間はあってもお金を節約したいなら自分で行い、忙しいなら代行を使うのが賢明です。
まとめ
兵庫県における墓じまいは、「行政からの工事費補助金はない」という厳しい現実からスタートします。しかし、決して諦める必要はありません。
ポイント
- 「永代使用料の還付」:
明石市や姫路市(名古山)、または許可後間もない神戸市の未使用地など、条件次第で数十万円が戻る可能性があります。 - 「合葬墓の活用」:
神戸市鵯越合葬墓(5万円)などを利用することで、トータルコストを劇的に下げることができます。 - 「相見積もり」:
民間業者を競わせることで、解体費用を10万〜20万円安くすることは十分に可能です。
まずは、お手元の「墓地使用許可証」を確認し、自分が利用している墓地が「公営」か「民間・寺院」かを把握してください。その上で、公営なら役所の管理課へ還付の有無を電話確認し、民間なら複数の石材店に無料見積もりを依頼することから始めましょう。行動を起こすことが、費用の悩みから解放される第一歩です。