家族・親族・お寺への伝え方

墓じまいの手紙・挨拶状の例文集|親戚・お寺・石材店へ送るマナーと時期を徹底解説

「墓じまいを考えているけれど、親戚にどう切り出せばいいのか分からない」
「お寺にいきなり『辞めます』と伝えて、法外な離檀料を請求されたらどうしよう」
「手紙の書き方一つで、長年の縁が切れてしまうかもしれない……」

このように、墓じまい(改葬)の決断をしたものの、関係者への「伝え方」で悩み、夜も眠れない日々を過ごしていませんか?

お墓の問題は、単なる石の撤去工事ではありません。長年にわたる「家」の歴史と、それに関わる人々の「想い」を整理する、非常にデリケートな「人間関係の再構築」プロジェクトです。

実は、墓じまいで起こるトラブルの9割は、事前の相談不足や、礼儀を欠いた報告が原因だと言われています。逆に言えば、正しいタイミングで、相手の心情に配慮した「手紙」を一通送るだけで、数百万円規模の金銭トラブルや、親族間の絶縁といった最悪の事態を回避できるのです。

この記事では、親戚、お寺(菩提寺)、石材店など、相手別の「そのまま使える挨拶状・手紙の例文」を網羅しました。さらに、意外と知られていない「墨の濃さ」や「封筒の選び方」といったマナーまで、失敗しないための知識をすべて解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたの手元には相手に響く手紙の下書きが完成し、円満な墓じまいへの第一歩を自信を持って踏み出せるようになっているはずです。

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なぜ墓じまいに「手紙」が不可欠なのか?基本マナーと役割

近年、少子高齢化や都市への人口集中を背景に、墓じまいは「家の断絶」を意味するネガティブなものではなく、ライフスタイルに合わせた前向きな「改葬(お引越し)」へと変化しています。しかし、どれだけ時代が変わっても、変わらないのが「人の心」です。ここでは、なぜメールや電話ではなく「手紙」が必要なのか、その本質的な理由を解説します。

トラブルの9割は「事後報告」から始まる

墓じまいにおいて最も避けるべきは、「すべて終わってから報告する」ことです。特に親戚やお寺にとって、お墓は単なる物理的な建造物ではなく、「一族の象徴」であり「信仰の対象」です。これを相談もなく撤去・処分されることは、自身のルーツや信仰心を否定されたと感じ、激しい怒りを招く原因となります。

実際、国民生活センターには「親族に無断で墓じまいをされ、慰謝料を請求したい」といった相談や、お寺から「聞いていない」と高額な離檀料を請求されるケースが寄せられています。これらはすべて、「相談」というプロセスを飛ばして「事後報告」してしまったことが発端です。

手紙は、単なる連絡手段ではありません。「あなたを尊重しています」「あなたの意見を聞かせてください」という敬意を目に見える形で伝えるツールです。また、口頭での「言った言わない」のトラブルを防ぐための、法的な証拠能力に近い役割も果たします。特に金銭的な負担や契約が絡む墓じまいにおいて、書面で記録を残すことは、あなた自身を守る最大の防御策となるのです。

メール・LINE・電話・手紙の使い分け基準

デジタル化が進んだ現代において、すべての連絡を手紙で行う必要はありません。相手との関係性や距離感に応じて、最適なツールを使い分けることがスマートな進め方です。

連絡ツールの使い分け

  • LINE・メール(略式)
    • 対象: 日頃から頻繁に連絡を取り合っている子供世代、非常に親しい兄弟姉妹。
    • 用途: 日程の微調整、カジュアルな相談、写真の共有など。
    • 注意点: 重要な決定事項や、金銭の話をLINEだけで済ませるのは危険です。必ず後で書面や対面での補足が必要です。
  • 電話(準略式)
    • 対象: 遠方に住む親戚、石材店への最初の問い合わせ。
    • 用途: 手紙を送る前の「事前連絡(根回し)」や、相手の反応をリアルタイムで知りたい時。
    • 注意点: 感情的になりやすい話題(費用負担やお寺への不満など)は、電話だと売り言葉に買い言葉になるリスクがあります。
  • 手紙・封書(正式)
    • 対象: 菩提寺の住職、年長の親戚(叔父・叔母)、疎遠な親族、本家・分家の関係者。
    • 用途: 改葬の正式な申し込み、離檀の意思表示、完了報告、お布施の送付。
    • 重要性: 特に菩提寺やお世話になった高齢の親戚に対しては、手紙が「礼儀」そのものです。メールで済ませると「非常識な人」というレッテルを貼られ、その後の手続きに支障をきたす可能性があります。

挨拶状を送る「3つのタイミング」と「送る相手」

手紙を送るタイミングは、大きく分けて3回あります。このフェーズを間違えると、相手の心証を損ねてしまいます。

step
1
検討段階(相談・お願い)

  • 時期: 墓じまいを決意する前、または候補地を探し始めた段階(半年前〜1年前)。
  • 相手: お墓の承継権を持つ可能性のある親族、影響力のある年長者。
  • 目的: 「まだ決めていませんが、どう思いますか?」という姿勢で相手を立て、合意形成を図るため。

step
2
決定時(案内・通知)

  • 時期: 改葬許可証を取得し、工事の日程が決まった時(1〜2ヶ月前)。
  • 相手: すべての親戚、菩提寺、石材店。
  • 目的: 閉眼供養(魂抜き)の日程を伝え、参列を依頼するため。また、お寺には正式な離檀の申し入れを行うため。

step
3
完了後(報告・お礼)

  • 時期: 納骨が完了した後(完了後1ヶ月以内、または年末年始)。
  • 相手: 親戚、知人、これまでお世話になった方々。
  • 目的: 無事に改葬が済んだことを報告し、新しいお墓の場所を知らせるため。ここで初めて知る親戚がいないようにすることが重要です。

【準備編】恥をかかないための用紙・筆記用具・封筒のマナー

内容は完璧でも、道具選びを間違えれば「マナー知らず」と思われてしまいます。墓じまいは慶事(お祝い)ではありませんが、単なる弔事(お悔やみ)とも異なります。「先祖をより良い環境に移す」という前向きな要素も含まれるため、道具選びには独特のルールが存在します。

用紙の選び方(奉書紙・和紙・コピー用紙)

送る相手との距離感によって、紙の質を使い分けます。

  • 奉書紙(ほうしょし)・巻紙
    • 格式: 最上級。
    • 用途: 菩提寺への離檀願い、本家の長老への相談、お布施を包む際。
    • 特徴: 白く厚手の和紙で、横に長く継ぎ合わされています。毛筆で書き、蛇腹に折って封筒に入れます。「折り目正しく」という誠意が伝わります。
  • 和紙の便箋(罫線なし、またはグレーの罫線)
    • 格式: 正式。
    • 用途: 一般的な親戚への手紙、事務的な連絡の添え状。
    • 特徴: 白無地の縦書きが基本です。色付きや柄物はカジュアルすぎるため、避けるのが無難です。
  • 単判カード・ハガキ
    • 格式: 略式。
    • 用途: 完了報告(挨拶状)、知人への通知。
    • 特徴: 印刷業者に依頼して大量に作成する場合に適しています。ただし、目上の方へハガキ一枚で済ませるのは失礼にあたることもあるため、封筒に入れる「単判カード」形式が推奨されます。

筆記用具の正解(毛筆・万年筆・ボールペン)

ここで多くの人が間違いやすいのが「墨の色」です。

注意

濃墨(こずみ)の毛筆・筆ペン = 正解です。

薄墨(うすずみ)は「悲しみの涙で墨が滲んだ」「急なことで墨をする時間がなかった」という意味で、通夜や葬儀の香典に使います。墓じまいは事前に計画して行う行事であり、新しい供養のスタートでもあるため、堂々と「濃い黒」で書くのが正しいマナーです。

  • 万年筆・水性ボールペン(黒)
    • 許容範囲: 親しい間柄や、事務的な連絡の場合。
    • 注意: インクの色は必ず「黒」または「ブルーブラック」を選びます。
  • ボールペン・サインペン
    • NG: 本来は事務用品であり、正式な挨拶状には不向きです。特に菩提寺への手紙でボールペンを使うと、軽く見られていると感じさせる恐れがあります。

封筒の選び方と「二重封筒」の是非

封筒選びにも「不幸を繰り返さない」という意味合いが関わってきますが、墓じまいにおいては解釈が分かれます。

  • 二重封筒(和紙で中紙があるもの)
    推奨: 基本的に墓じまいの挨拶状はこれでOKです。
    理由: 弔事(葬儀)では「不幸が重なる」ことを嫌って一重の封筒を使いますが、墓じまいは法要の一種であり、丁寧さを重んじる場面です。中身が透けない二重封筒を使うことで、礼儀を尽くす姿勢を示せます。
  • 一重の白封筒
    無難: 地域や家風によって「不祝儀扱い」を厳格に守る場合は、厚手の一重封筒を選びます。郵便番号枠のない真っ白なものが正式です。
  • 茶封筒
    NG: 事務的な請求書などに使うものであり、挨拶状には絶対に使ってはいけません。

【親戚へ】円満合意を取り付ける「事前相談・報告」の例文

親戚への手紙で最も大切なのは、「決定事項の通達」ではなく、「相談と共感」の姿勢を見せることです。

【相談】近い親戚へ(兄弟・叔父叔母)

この段階では「まだ迷っている」「あなたの意見を聞きたい」というニュアンスを残すことが重要です。

件名: 先祖代々のお墓の今後についてのご相談

拝啓

○○の候、叔父様におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて、本日は先祖代々のお墓のことでご相談したく、筆を執りました。

私も還暦を過ぎ、足腰の衰えを感じる中で、お墓の管理やお掃除に十分な手が回らなくなってまいりました。また、子供たちも遠方に住んでおり、将来的に誰にお墓を守ってもらうか、あるいは子供たちに負担をかけてしまうのではないかと、妻とも話し合いを重ねております。

ご先祖様を無縁仏にしてしまうことだけは避けたいと考えており、一つの選択肢として、今の元気なうちに「墓じまい」を行い、永代供養墓などへ改葬することも検討し始めました。

つきましては、長年お墓を見守ってこられた叔父様のご意見をぜひお聞かせいただけないでしょうか。まだ決定事項ではございませんので、忌憚のないお考えを伺えれば幸いです。

寒暖定まらぬ折、くれぐれもご自愛ください。

敬具

令和○○年○月○日

(あなたの氏名)

【報告】疎遠な親戚へ(決定事項として伝える)

決定後に報告する場合は、「なぜその決断に至ったか」というやむを得ない事情と、新しい供養先がある安心感をセットで伝えます。

拝啓

(時候の挨拶)

さて、突然のお手紙で恐縮ですが、当家の墓地についてご報告がございます。

かねてより懸案となっておりましたお墓の継承問題につきまして、親族間で話し合いを重ねてまいりました。その結果、現在の墓地を返還し、○○寺(新しい納骨先)にて永代供養をしていただくことといたしました。

遠方に住む私どもにとりましては断腸の思いではございますが、将来的に無縁墓となって荒れ果ててしまうことを防ぐため、住職様に毎日ご供養いただける環境へ移すことが、ご先祖様にとっても最善であると判断いたしました。

本来であれば拝眉の上ご報告申し上げるべきところ、書中をもちましてご挨拶とさせていただきます。

(結びの言葉)

【金銭】費用のカンパを辞退する場合

親戚が最も警戒するのは「費用の請求」です。こちらで負担することを明記すると、トラブルの芽を摘めます。

追加フレーズ:

なお、改葬にかかる費用につきましては、すべて当家にて負担する所存でございます。皆様にご心配やご負担をおかけすることはございませんので、その点はご安心いただけますと幸いです。

【反対派】お墓への執着が強い親戚への配慮文

「先祖を捨てるのか!」と反発する相手には、論理ではなく感情(先祖への愛)で訴えかけます。

説得のポイント文:

叔父様のおっしゃる通り、先祖代々の土地を離れることは私にとっても辛い決断です。しかし、私が動けなくなった後、草に埋もれて誰もお参りしないお墓になってしまう姿を想像すると、それが一番の親不孝ではないかと考えました。

形は変わりますが、私の目の黒いうちに、責任を持って安住の地へお引越しさせることが、最後のご奉公だと信じております。

【お寺へ】高額な離檀料トラブルを回避する「離檀・改葬」の例文

お寺への連絡は、ビジネスライクになりすぎると失敗します。長年の感謝を前面に出しつつ、事情があって「泣く泣く」離檀するというスタンスが、円満解決の鍵です。

【第一歩】住職へのアポイント取り(電話前の手紙)

いきなり「辞めます」と言うと、住職も身構えます。「相談」という形をとります。

謹啓

(時候の挨拶)

住職様におかれましては、ご健勝にてお過ごしのことと拝察いたします。

日頃は、当家の先祖代々が大変お世話になり、心より感謝申し上げます。

さて、本日はお寺へお伺いしてご相談申し上げたいことがあり、お手紙を差し上げました。

私自身の高齢化に伴い、今後のお墓の守り方について不安を感じており、住職様のお知恵を拝借できればと考えております。

近日中に、一度お電話にて日程のお伺いをさせていただきます。ご多忙の折、誠に恐縮ですが、お時間をいただけますと幸いです。

謹白

【核心】離檀(墓じまい)を切り出す公式な手紙

面談後、または遠方でどうしても出向けない場合の正式な依頼文です。

謹啓

(時候の挨拶)

(感謝の言葉)

さて、先般ご相談申し上げました通り、当家のお墓を墓じまい(改葬)させていただきたく、改めてお願い申し上げます。

本来であれば、代々受け継いできたお墓を守り続けることが私の務めではございますが、後継者の不在と私自身の体調低下により、これ以上ご迷惑をおかけしないためにも、今のうちに身辺を整理することが賢明であると判断いたしました。

長きにわたり温かいご指導を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。つきましては、改葬許可申請に必要な「埋蔵証明書」の発行をお願いしたく存じます。

末筆ながら、貴寺の益々のご発展と住職様のご健勝をお祈り申し上げます。

謹白

【感謝】閉眼供養(魂抜き)依頼の手紙

お墓を撤去する前に行う最後の法要の依頼です。これでお寺との関係は最後になるため、最大限の礼を尽くします。

(前略)

つきましては、お墓の閉眼供養(魂抜き)をお願いしたく存じます。

工事の日程は○月○日を予定しておりますので、その前に住職様のご都合の良い日時にて、最後のお経をあげていただければ幸いです。

当日は、これまでのお礼も含めまして、心ばかりのお布施を用意させていただきます。

何卒よろしくお願い申し上げます。

【金銭】お布施・離檀料を同封する場合の添え状

遠方で直接手渡しできない場合、現金書留で送ります。その際の添え状です。

拝啓

(時候の挨拶)

この度は、当家の改葬に関しまして多大なるご配慮をいただき、誠にありがとうございます。

本来であれば参上してお渡しすべきところ、遠方につき郵送にて失礼いたします。

これまで長きにわたりご供養いただきました御礼として、心ばかりのものを同封いたしました。

どうぞお納めください。

敬具

【公式】わたしたちの墓じまいを見てみる

※離檀代行や行政手続きの代行をプロに任せたい場合は、こちらで無料相談が可能です。

【拒否】法外な離檀料を請求された後の交渉・断りの手紙

もし「離檀料300万円」などと言われた場合、感情的に反論せず、支払い能力がないことを冷静に伝えます。

前略

先日は離檀料についてご提示いただき、ありがとうございました。

家族で検討いたしました結果、ご提示いただいた金額は、私どもの経済状況ではどうしても工面することが難しく、支払うことができません。

これまでの感謝の気持ちとして、法要のお布施と、お寺への寄付を含めまして「○○万円」であれば、なんとか用意することができます。

もし、この金額でご了承いただけないようでしたら、行政書士や弁護士等の専門家へ相談し、法的な手続きを含めて検討せざるを得なくなります。私としても、長年お世話になったお寺様と揉めることは本意ではございません。

何卒、私どもの事情をご賢察いただき、ご再考いただけますよう伏してお願い申し上げます。

草々

【完了報告】墓じまい無事終了を伝える挨拶状・ハガキ例文

すべてが終わった後、周囲を安心させるための報告です。

基本の完了報告(スタンダード)

拝啓

(時候の挨拶)

さて、このたび当家では、諸事情により○月○日をもちまして墓じまいを行い、下記へ改葬いたしましたことをご報告申し上げます。

長年にわたりお参りいただきました皆様には、心より厚く御礼申し上げます。

【新しい納骨先】
住所:○○県○○市〜
名称:○○霊園 ○番

お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りいただければ幸いです。

略儀ながら書中をもちましてご報告とさせていただきます。

敬具

年賀状じまい・年賀状欠礼と兼ねる場合

最近増えている「年賀状じまい」とセットにするパターンです。

(新年の挨拶または喪中の挨拶)

(近況報告)

また、私事ではございますが、昨年中に墓じまいを行い、先祖の遺骨を永代供養墓へ移しました。私自身も高齢となり、身辺整理の一環として決断いたしました。

あわせて、本年をもちまして、どなた様とも年始のご挨拶を失礼させていただきたく存じます。

皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

暑中見舞い・寒中見舞いで報告する場合

季節の挨拶の中で、さりげなく伝える柔らかい方法です。

暑中お見舞い申し上げます。

(中略)

この夏、長年の肩の荷が一つ下りました。先祖のお墓を整理し、自宅近くの納骨堂へ引越しを済ませたのです。これからは頻繁にお参りができそうで、ホッとしております。

猛暑が続きますが、どうぞご自愛ください。

報告が遅れてしまった場合の「お詫び入り」例文

追加フレーズ:

本来であればすぐに報告すべきところ、事後のご報告となりましたこと、深くお詫び申し上げます。

色々と手続きに追われ、ご挨拶が遅れてしまいました。何卒ご容赦ください。

【その他】石材店・行政機関への連絡例文

業者とのやり取りは、記録に残すことが重要です。

石材店への見積もり依頼

相見積もり(複数の業者から見積もりを取ること)は、適正価格を知るために必須です。

件名: 墓じまい工事の見積もり依頼について(○○家)

本文:

○○石材店 ご担当者様

突然のご連絡失礼いたします。

現在、墓じまいを検討しており、お見積もりをお願いしたくご連絡いたしました。

  • 墓地所在地:○○霊園 ○区○番
  • 敷地面積:約○平方メートル
  • 希望工事時期:令和○○年○月頃
  • 希望内容:墓石の撤去、更地化、閉眼供養の立ち会い有無

なお、現在数社に相見積もりをお願いしております。費用や対応を比較検討させていただいた上で決定したく存じます。

お忙しいところ恐縮ですが、概算等いただけますでしょうか。

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※全国対応で、明朗会計な見積もりが欲しい場合はこちらが便利です。

石材店への断り状(相見積もり後)

見積もりを取った後、断る際も礼儀正しく伝えます。

この度はお見積もりをいただき、誠にありがとうございました。

家族で検討いたしました結果、今回は別の石材店にお願いすることとなりました。

丁寧にご対応いただいたにも関わらず、ご希望に添えず申し訳ございません。

またの機会がございましたら、よろしくお願い申し上げます。

霊園管理事務所への解約通知

○○霊園管理事務所 殿

墓地使用許可証番号:第○○号

使用者氏名:○○ ○○

上記の墓地につきまして、改葬のため返還(解約)したく、ここに届け出ます。

つきましては、必要な書類および手続きについてご教示ください。

シチュエーション別・書き換え用「気の利いたフレーズ集」

テンプレートを自分の言葉にするためのパーツ集です。

「書き出し(時候の挨拶)」月別リスト

墓じまいは季節を問いませんが、手紙には季節感を添えるのがマナーです。

  • 1月: 厳寒の候 / 新春の候
  • 2月: 立春の候 / 梅のつぼみもほころび始め
  • 3月: 早春の候 / 桜の便りが聞かれる頃
  • 4月: 陽春の候 / うららかな春に誘われて
  • 5月: 新緑の候 / 風薫る五月
  • 6月: 梅雨の候 / 紫陽花の花が鮮やかな季節
  • 7月: 盛夏の候 / 蝉時雨が賑やかな頃
  • 8月: 晩夏の候 / 朝夕はようやく涼しくなり
  • 9月: 初秋の候 / 虫の音が心地よい季節
  • 10月: 秋色の候 / 秋晴れの心地よい日が続き
  • 11月: 晩秋の候 / 朝晩の冷え込みが厳しくなり
  • 12月: 師走の候 / カレンダーも最後の一枚となり

「結びの言葉」相手別リスト

  • 一般的な親戚: ご家族皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
  • 高齢の方へ: 季節の変わり目ですので、どうぞお体ご自愛ください。
  • お寺へ: 貴寺の益々のご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

「理由」のバリエーション(高齢、転居、経済的理由)

  • 高齢: 「寄る年波には勝てず、お墓の掃除もままならなくなってまいりました」
  • 転居: 「このたび○○へ転居することとなり、お墓との距離がさらに離れてしまうため」
  • 後継者不足: 「子供たちはそれぞれ独立しており、将来の負担を残したくないという思いから」
  • 経済的理由: 「年金暮らしとなり、護持会費等の維持管理が経済的に難しくなってまいりました」

ギフト(心付け・粗品)を贈る際の添え書き

商品券や菓子折りを送る際に添えます。

  • 「心ばかりの品ですが、ご笑納ください」
  • 「ほんの気持ちですが、お茶請けにでもなさってください」
  • 「本来であればお目にかかってお礼を申し上げるべきところ、心苦しい限りです」

よくある質問(Q&A)

手紙を出したのに返信がない場合はどうする?

親戚の場合、「了解した」という意味で返信をしない人もいます。1ヶ月ほど待って反応がなければ、念のため電話で「手紙は届きましたでしょうか?」と確認するのが確実です。お寺の場合は、返信がない=了承ではない可能性があるため、必ず電話でアポイントを取りましょう。

印刷(プリント)の手紙は失礼にあたる?

完了報告(挨拶状)で、数多くの人に送る場合は印刷でも構いません。しかし、菩提寺や近い親族への相談・依頼の手紙は、手書き(またはパソコン作成でも署名は手書き)が推奨されます。手間をかけること自体が、相手への敬意となります。

代筆サービスやAI(ChatGPT等)を使ってもバレない?

AIで作成した文章は整いすぎていて、冷たい印象を与えることがあります。AIで作った下書きをベースに、必ず「自分の言葉(エピソードや感情)」を付け加えてください。手書き代筆サービスは、プロが書くため非常に綺麗ですが、普段の字と違いすぎると違和感を持たれることもあります。

切手は「弔事用」を使うべき?普通切手でいい?

墓じまいは弔事そのものではないため、通常の切手(花や風景のデザイン)や、記念切手で構いません。弔事用切手(菊などの暗いデザイン)を使うと、受け取った相手が「誰か亡くなったのか?」と驚いてしまうため、避けるのが無難です。

墓じまい後の「お歳暮・お中元」は続けるべき?

墓じまいをしたからといって、親戚付き合いやお寺との縁をすべて切る必要はありません。これまで通り続けても良いですし、これを機に「高齢のため、皆様へのご挨拶を控えさせていただきます」と宣言して終了するのも一つの方法です。

差出人は「世帯主」?「連名」?女性の場合は?

基本的には「祭祀承継者(お墓の名義人)」の名前で出します。夫婦で相談して決めたことを強調したい場合は、連名にしても問題ありません。女性(妻)が実家のお墓を墓じまいする場合は、もちろん女性の名前で出します。

まとめ

墓じまいは、単なる「お墓の撤去」ではなく、ご先祖様をより良い環境にお引越しさせ、あなた自身も心の重荷を下ろすための前向きな儀式です。

その成功の鍵を握るのは、相手を思いやる「一通の手紙」です。

今回ご紹介した例文やマナーは、あくまで「型」に過ぎません。この型に、あなたの「先祖への感謝」と「親族への配慮」を少しだけトッピングしてください。そうすれば、あなたの気持ちは必ず伝わり、トラブルなく円満に墓じまいを進めることができるでしょう。

Next Action

まずは手元にある紙の裏でも構いません。「送るべき相手リスト(親戚・お寺)」を書き出してみましょう。そして、この記事の「相談用テンプレート」を見ながら、最初の一通の下書きを始めてみてください。

もし、お寺との話し合いや行政手続きに不安が残る場合は、一人で抱え込まず、プロの代行業者に相談してみるのも賢い選択です。

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※大手の安心感があり、墓じまい後の供養先探しまでトータルで相談に乗ってくれます。

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