広告 トラブル・高額請求の回避

墓じまいの相談先まとめ:役所/霊園/消費生活センター/弁護士/業者の使い分け

「そろそろ墓じまいを考えたいけれど、最初にどこへ連絡すればいいのか分からない」
「お寺に高額な離檀料を請求されたらどうしよう」
「役所の手続きが複雑そうで、自分にできるか不安」

このような悩みで、最初の一歩を踏み出せずにいませんか?

墓じまい(改葬)は、単なる「お墓の片付け」ではありません。
行政手続き、宗教的な儀礼、解体工事、そして親族間の合意形成が複雑に絡み合う、一大プロジェクトです。

相談する順番や相手を間違えると、話がこじれてしまったり、不必要な費用が発生したりするリスクがあります。

逆に言えば、「今の自分の悩みは、誰が解決してくれるのか」を正しく理解さえすれば、墓じまいは決して恐れるものではありません。

この記事では、状況別に「どこに」「何を」「どのように」相談すべきかを網羅的に解説します。行政の窓口から弁護士、石材店まで、それぞれの役割と活用法を完全に理解し、スムーズな墓じまいを実現しましょう。

また、こちらの記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。墓じまいトラブル大全:ぼったくり/高額請求/放置の末路と、相談先まで

【チャートで診断】あなたの墓じまいはどこに相談すべき?

墓じまいには、大きく分けて「行政」「供養」「工事」「トラブル」「代行」という5つの側面があります。まずは、あなたが現在抱えている悩みや状況に合わせて、最適な相談先を判断しましょう。

墓じまいの相談先は大きく分けて「5つのカテゴリー」がある

墓じまいに関わるプレイヤーと、その役割分担は以下の通りです。これらを混同してしまうと、「役所でお寺の文句を言う(管轄外)」「石材店に法律相談をする(専門外)」といったミスマッチが起こります。

相談先と役割の整理

  1. 行政(市区町村役場): 公的な許可証の発行、補助金の確認。
  2. 供養(寺院・霊園): 閉眼供養、離檀、遺骨の取り出し証明。
  3. 工事(石材店): 墓石の解体、撤去、整地、産業廃棄物の処理。
  4. トラブル(消費生活センター・弁護士): 金銭トラブル、契約不履行、親族間紛争。
  5. 代行(代行業者・行政書士): 手続きや作業の代理・代行。

「手続き・書類」で困っているなら → 市区町村の役所

「改葬許可証」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。墓じまいを行い、遺骨を別の場所へ移すためには、墓地埋蔵等に関する法律(墓埋法)に基づき、現在のお墓がある自治体から許可を得る必要があります。

書類の書き方や必要書類の集め方が分からない場合は、まず役所の窓口が相談先となります。

「高額請求・契約トラブル」なら → 消費生活センター・弁護士

「お寺から数百万円の離檀料を請求された」「石材店が見積もりになかった追加費用を請求してきた」といった金銭的なトラブルは、当事者同士での解決が困難です。

このような場合は、消費生活センター(消費者ホットライン局番なし188)や、法的交渉権を持つ弁護士への相談が不可欠です。

「時間がない・丸投げしたい」なら → 墓じまい代行業者・行政書士

「お墓が遠方で何度も通えない」「高齢で手続きや立ち会いが難しい」という場合は、実務を代行してくれる専門業者が相談先です。

お墓の確認から行政手続き、解体工事の立会いまでをワンストップで依頼できるサービスが増えています。ただし、業者によって対応範囲が異なるため、事前の確認が重要です。

「親族の合意・お寺の意向」なら → 親族会議・菩提寺

最も基本的かつ重要なのが、身内への相談です。墓じまいは「家の歴史」を閉じる行為でもあります。「勝手に墓を処分した」という事実は、絶縁に繋がるほど深刻な亀裂を生むことがあります。

また、菩提寺(お世話になっているお寺)へは、決定事項として通告するのではなく、「相談」という形で早期にアプローチすることが、トラブル回避の鉄則です。

【役所・自治体】行政手続きと補助金の相談

墓じまいは私的な宗教行事であると同時に、公衆衛生に関わる法的なプロセスです。無許可で遺骨を動かすことは刑法第190条の「死体遺棄罪」に問われる可能性もあるため、行政窓口との連携は必須です。

相談すべき窓口の部署名は?(市民課・衛生課・環境課など)

相談に行く際、最初に戸惑うのが「どの課に行けばいいのか」という点です。実は、改葬許可申請を受け付ける部署名は自治体によってバラバラです。

  • 市民課・戸籍住民課: 横浜市、川崎市、さいたま市、前橋市など
  • 環境課・衛生課: 所沢市、狭山市、茅ヶ崎市など
  • 保健所: 一部の自治体では保健衛生部門が管轄

いきなり窓口へ行くのではなく、まずは役所の代表電話にかけ、「お墓の引越し(改葬)をしたいので、改葬許可申請の担当課をお願いします」と伝えて回してもらうのが確実です。

なお、申請先は「自分の住んでいる場所」や「新しいお墓の場所」ではなく、「今あるお墓の所在地の役所」である点に注意してください。

役所で相談できること:改葬許可申請書の書き方と発行

役所の窓口では、改葬許可申請書の様式を入手し、記入方法の指導を受けることができます。基本的な流れは以下の通りです。

step
1
受入証明書の確認

新しい納骨先(改葬先)が決まっていることを証明する書類が必要です。

step
2
埋蔵証明書の確認

現在のお墓の管理者に、誰の遺骨が埋まっているか証明してもらう必要があります。

step
3
申請書の提出

上記を揃えて提出し、審査を経て「改葬許可証」が発行されます。

申請書には、死亡者の「本籍・住所・氏名(死亡当時)」や「火葬・埋葬された年月日」を記載する必要があります。もし情報が不明な場合、戸籍謄本(除籍謄本)を取り寄せて確認する方法や、どうしても分からない場合の「不詳」としての記載方法についても、窓口で相談に乗ってもらえます。

役所で相談できること:現在のお墓が「管理者不明」の場合

古い共同墓地や、山奥にある個人墓地など、誰が管理しているか分からない「管理者不明」のお墓を墓じまいしたいケースもあるでしょう。また、お墓の中に誰の遺骨か分からない古い骨がある場合もあります。

このような「無縁墳墓(無縁墓)」や「縁故者不明」のケースでは、通常の改葬手続きとは異なる、墓埋法施行規則第3条に基づく厳格な手続きが必要です。

管理者不明の場合の手続き

  • 官報への掲載: 国の発行する機関紙「官報」に、改葬の意図や死亡者の情報を掲載し、縁故者からの申し出を待ちます(掲載費は1行22文字あたり約3,589円〜)。
  • 立札の設置: お墓の前に、官報と同じ内容の立札を1年間設置し、風雨に耐える状態で掲示し続ける必要があります。

これらの手続きを経て、1年間申し出がなかったことを証明する書類や写真を添えて、ようやく改葬許可を申請できます。非常に煩雑な手続きとなるため、役所で詳細な手順を確認するとともに、専門家(行政書士等)への依頼も検討すべき内容です。

役所で相談できること:墓じまい補助金制度の有無

近年、管理されずに放置される「無縁墓」の増加を防ぐため、墓じまい(墓所返還)に対して補助金や助成金を交付する自治体が増えています。相談の際は、必ず「改葬や墓じまいに関する補助制度はありますか?」と確認しましょう。

【自治体の支援制度の例(2024-2025年実績例)】

  • 千葉県市川市: 霊園合葬式墓地の生前申込・遺骨申込が可能(1体7.1万円)。原状回復費用の一部助成や使用料の返還制度あり。
  • 千葉県浦安市: 墓石撤去費に対し最大15万円の補助、合祀施設の無償提供。
  • 茨城県水戸市: 市営墓地の返還に対し、使用年数等の条件に応じて7万~94.5万円の「協力金」を交付。
  • 北海道苫小牧市: 墓石撤去・改葬に対し最大5万円。
  • 群馬県太田市: 墓石撤去費に上限20万円の補助。
  • 東京都: 都立霊園の返還時、原状回復義務を免除する場合や、合祀墓への移行支援制度がある。

これらの制度には「管理料を滞納していないこと」「使用許可から一定年数が経過していること」などの条件があるため、工事契約を結ぶ前に確認することが重要です。

【注意】役所では対応してくれない「民事介入」の壁

役所はあくまで「行政手続き」の窓口です。「お寺が離檀料を高額請求してくる」「親戚が遺産のことで揉めている」といった民事上のトラブル(個人間の争い)には介入できません。

注意


窓口でこれらの相談をしても、「当事者間で話し合ってください」と言われるだけです。トラブルの相談は後述する消費生活センターや弁護士へ持ち込みましょう。

【寺院・霊園】供養と閉眼供養の相談

寺院墓地にお墓がある場合、お寺への相談は墓じまいの成否を分ける最重要プロセスです。ここでの対応を誤ると、金銭的なトラブルだけでなく、精神的なしこりを残すことになります。

菩提寺(お寺)への相談タイミングは「見積もり前」が鉄則

絶対にやってはいけないのが、「次の納骨先も契約し、石材店の見積もりも取り、工事日も決めてから、お寺に事後報告する」ことです。

長年供養してくれたお寺に対し、いきなり「辞めます」と通告するのは礼儀を欠く行為と受け取られ、態度を硬化させる原因になります。

相談のタイミングは、「墓じまいを検討し始めた段階」です。「まだ決定ではありませんが」という前置きをしつつ、住職に直接会って話をする時間を設けてもらいましょう。

相談内容:離檀(りだん)の意思表示とこれまでの感謝

お寺への切り出し方は、「決定事項の通告」ではなく「やむを得ない事情の相談」というスタンスを取るのがスムーズです。

推奨される会話の流れ

  • 事情の説明: 「実は子供たちが遠方に住んでおり、私の代で跡継ぎがいなくなってしまいます」「このままではご先祖様が無縁仏になってしまい、お寺様にもご迷惑をおかけするのが心苦しいのです」
  • 感謝の意: 「長年にわたりお守りいただき、本当にありがとうございました」
  • 提案: 「大変心苦しいのですが、墓じまい(改葬)を検討させていただきたく、ご相談に参りました」

このように、お寺側の事情(無縁仏の管理負担)にも配慮しつつ、感謝を伝えることで、円満な合意形成(離檀)を目指します。

相談内容:閉眼供養(魂抜き)の日程と布施の相場

墓石を解体・撤去する前には、お墓に宿った魂を抜く宗教儀式「閉眼供養(魂抜き・閉眼法要)」を行うのが一般的です。

この日程調整や、お布施の金額についても相談します。

  • 閉眼供養のお布施相場: 3万円〜10万円程度
  • その他の費用: お寺から墓地へ来てもらうための「御車代(5,000円〜1万円)」や、会食をしない場合の「御膳料(5,000円〜1万円)」が必要な場合もあります。

これらはあくまで「感謝の気持ち(寄付)」であるため定価はありませんが、「皆様どれくらい包まれていますか?」と率直に尋ねてみるのも一つの手です。

民営霊園・公営霊園の管理事務所に相談すべきこと

お寺ではなく、民営霊園や公営霊園にお墓がある場合は、管理事務所へ相談に行きます。確認すべき事項は以下の通りです。

  • 指定石材店の有無: 工事を依頼できる業者が決まっているか。
  • 原状回復の規定: どこまで更地にする必要があるか(基礎部分まで撤去か、巻石は残すか等)。
  • 事務手続き: 埋蔵証明書の発行手数料や、名義変更が必要な場合の手続き。

特に公営霊園の場合、手続きは事務的に進みますが、書類の不備には厳格ですので、事前に必要書類リストをもらっておきましょう。

【石材店】解体工事と見積もりの相談

お墓の解体・撤去工事を行うのは石材店です。費用の大部分を占めるのがこの工事費ですので、適正な業者選びと見積もりの精査が重要になります。

相談する石材店は「指定店」か「自由」かを確認する

墓地によっては、工事のできる石材店が決められている「指定石材店制度」があります。

これは、墓地の景観維持や、共有通路の破損防止、責任の所在を明確にするために設けられていますが、競争原理が働かないため、費用が割高になる傾向があります。

管理事務所やお寺に確認し、指定店がある場合はその業者に見積もりを依頼します。指定店がない場合は、自由に業者を選定できます。

複数の石材店に「相見積もり」を依頼する際のポイント

自由に業者を選べる場合は、必ず2〜3社から相見積もりを取りましょう。墓じまいの工事費用は、「重機が入れるかどうか」で大きく変動します。

費用の目安

  • 基本解体費: 1平方メートルあたり10万円〜15万円(一般的な2〜3平方メートルのお墓で20万〜50万円程度)。
  • 変動要因: 階段しかない、通路が狭いなどの理由でクレーン付きトラックが横付けできない場合、すべて手作業・手運びとなるため、費用が倍増する可能性があります。

見積もりを依頼する際は、「お墓の場所(区画番号)」「広さ」「墓石の大きさ」だけでなく、「トラックがどこまで入れるか」を伝えるとスムーズです。また、現地調査(無料)をお願いするのが最も確実です。

相談内容:お骨の取り出しと一時保管場所

工事の際、納骨室(カロート)を開けて遺骨を取り出す作業も石材店に依頼します(費用目安:1体1万円〜3万円)。

その際、次の納骨先への移動までに時間が空く場合、遺骨を一時的に預かってもらえるかどうかも相談しておきましょう。また、長年土中にあった遺骨は湿気を含んでいるため、「洗骨(洗浄・乾燥)」や「粉骨(パウダー化)」が必要かどうかも併せて相談すると良いでしょう。

相談内容:更地に戻す範囲と産業廃棄物の処理

見積もりには、「基礎撤去」「残土処分」「運搬費」がすべて含まれているか確認してください。「工事一式」という曖昧な記載の場合、後から追加請求されるリスクがあります。

特に重要なのが「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」の確認です。解体した墓石やコンクリートは産業廃棄物となります。これらが不法投棄されず、適正に最終処分されたことを証明する「E票(またはその写し)」を工事完了後に提出してもらえるか、契約前に必ず確認してください。これが信頼できる業者を見分けるリトマス試験紙となります。

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【消費生活センター】金銭トラブル・悪徳業者の相談

墓じまいに関する金銭トラブルは年々増加傾向にあります。「おかしいな」と思ったら、契約や支払いの前に公的な相談窓口を利用してください。

局番なし「188」への電話相談の流れ

全国どこからでも、局番なしの「188(いやや)」にかけると、最寄りの消費生活センターや国民生活センターの相談窓口につながります。

相談は原則無料で、専門の相談員が対処法をアドバイスしてくれます。相談の際は、契約書や見積書、請求書、これまでの経緯をメモしたものを手元に用意しておきましょう。

相談事例:高額すぎる離檀料を請求された場合

「お寺から離檀料として700万円請求された」といった事例が実際に報告されています。

消費生活センターでは、このような請求に対し、「離檀料には法的な支払い義務はない」という基本的な考え方を教えてくれます。過去の判例や消費者庁の見解でも、離檀料はあくまで宗教的な寄付行為であり、強制されるものではないとされています。

相談員からのアドバイスを元に、「支払う意思はあるが、社会通念上の相場(数万円〜20万円程度)とかけ離れているため応じられない」と交渉する勇気を持つことが大切です。

相談事例:石材店に追加料金を不当に請求された場合

「工事が終わってから、見積もりの倍額を請求された」というケースもあります。

見積書に「追加費用が発生する条件(例:地中から予期せぬ埋設物が出た場合など)」の記載がない限り、一方的な追加請求に応じる必要はありません。消費生活センターは、消費者契約法に基づき、不当な契約や請求への対抗策を助言してくれます。

相談事例:契約後の強引な勧誘や解約トラブル

自宅に業者が訪問してきて契約してしまった場合や、電話勧誘で契約した場合、契約書面を受け取ってから8日以内であれば「クーリングオフ」(無条件解約)が可能です。

ただし、自ら店舗に出向いて契約した場合や、自分から業者を自宅に呼んで契約した場合は対象外となることが多いため、解約料の妥当性などについて相談することになります。

【弁護士・行政書士】法的手続きと代理交渉の相談

トラブルが深刻化した場合や、手続きが複雑すぎる場合は、法律の専門家である「士業」への依頼を検討します。ただし、資格によって「できること」が明確に異なります。

行政書士に相談できること:書類作成代行と現地調査

行政書士は、「官公署に提出する書類」作成のプロです。

  • できること: 改葬許可申請書の作成代理、戸籍謄本の収集、無縁墓の改葬手続き(官報公告の手配など)、現地のお墓の確認調査。
  • できないこと: お寺との離檀料交渉、親族間の揉め事の仲裁、法的な代理人としての交渉。

「役所の手続きだけ代行してほしい」「遠方のお墓の状況を見てきてほしい」という場合は、弁護士よりも安価に依頼できる行政書士が適しています。

弁護士に相談できること:離檀料の減額交渉と法的措置

弁護士は、依頼人の代理人として交渉を行うことができる唯一の専門家です。

  • できること: お寺に対する離檀料の減額交渉、トラブル相手との示談交渉、訴訟対応。
  • メリット: 「弁護士が出てくる」こと自体が相手への強力なプレッシャーとなり、話し合いがスムーズに進むことが多いです。

弁護士法72条により、弁護士以外の者(行政書士や民間業者など)が報酬を得て法律事件の交渉を行うこと(非弁行為)は禁止されています。したがって、「揉めている相手との交渉」は弁護士一択となります。

弁護士に依頼するメリットと費用対効果の考え方

弁護士へ依頼する場合、「着手金」や「報酬金」が発生します。

例えば、トラブルの金額が10万円・20万円程度の場合、弁護士費用の方が高くなってしまう(費用倒れ)可能性があります。

「請求額が数百万単位である」「親族間で遺産相続も絡んで泥沼化している」といった深刻なケースでこそ、弁護士の費用対効果が最大化します。

「改葬代行業者」と「専門家」の違いとは?

世の中にある「墓じまい代行業者」の多くは、石材店や散骨業者が運営しており、実務(工事や遺骨の移動)をメインとしています。

一方、行政書士や弁護士は、書類や法律をメインとしています。

「全部丸投げしたい」という場合、行政書士と提携している代行業者を選ぶと、実務と手続きの両方を適法に進めてくれるため安心です。

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ケーススタディ:こんな状況ならどこが最適?

ここでは、よくある具体的なシチュエーション別に、最適な相談ルートを整理します。

Case1:お墓が遠方すぎて現地に行けない場合

最適解


「墓じまい代行業者」または「現地の行政書士」

理由: 物理的な移動が困難な場合、現地の確認から役所手続き、お寺への挨拶代行(手紙や電話のサポート)、遺骨の取り出しと郵送(送骨)までをフルアウトソーシングできるサービスを利用するのが最も効率的です。

Case2:お寺から「離檀料300万円」と言われ払えない場合

最適解


「本山(宗派の本部)」相談 → ダメなら「弁護士」

理由: まずは、そのお寺が所属する宗派の本山(本部)の窓口に相談し、「法外な請求を受けて困っている」と伝えます。本山から指導が入ることで解決するケースがあります。それでも解決しない場合や、執拗な請求が続く場合は、弁護士に代理交渉を依頼し、法的根拠のない請求を遮断します。

Case3:親族間でお骨の行き先について揉めている場合

最適解


「家庭裁判所」または「第三者(住職など)」

理由: 「長男が墓を継ぐべきだ」「いや、散骨にしたい」といった価値観の対立は、当事者だけでは解決しません。家庭裁判所の「調停制度」を利用するか、信頼できる住職などに間に入ってもらい、宗教的な観点からアドバイスをもらうのが有効です。

Case4:お墓の中に誰が入っているか分からない場合

最適解


「石材店」および「役所」

理由: まず石材店に依頼してカロート(納骨室)を開けてもらい、骨壺の数や記名を確認します。並行して、役所の担当課で「墓地台帳」の照会を依頼し、登録されている埋葬者情報を確認します。

Case5:お金がなくて墓じまい費用が捻出できない場合

最適解


「金融機関(メモリアルローン)」または「自治体の福祉課」

理由: 手元資金がない場合、銀行などが提供する「メモリアルローン(使途を葬祭関連に限定したローン)」の利用を検討します。また、生活保護受給者の場合、墓じまい自体の費用は出ませんが(葬祭扶助はあくまで直葬費用)、生活福祉資金貸付制度などが利用できる可能性について、ケースワーカーに相談してみましょう。

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相談に行く前の「事前準備リスト」

相談時間を無駄にせず、具体的で的確なアドバイスをもらうために、以下の情報を整理して持参しましょう。

お墓の基本情報(場所・広さ・建立者名)のメモ

相談の際、必ず聞かれるスペック情報です。

確認リスト

  • 墓地名と所在地: (例:〇〇市営霊園、〇〇寺)
  • 区画番号: 墓地内の住所にあたる番号。
  • お墓の広さ: (例:1.8m × 1.8m、約1坪など)
  • 墓石の建立者名: 墓石の側面に彫られている名前。
  • 建立年月日: いつ建てられたか。

現在の墓地の写真(全体・周辺・文字のアップ)

スマホで撮影した写真があると、石材店や役所への説明が格段にスムーズになります。

  1. 正面全体: お墓の形が分かるもの。
  2. 周辺の状況: 隣のお墓との間隔、通路の広さ、階段の有無(工事車両が入れるかの判断に必須)。
  3. 文字のアップ: 墓石に彫られた建立者名や建立日。

「墓地使用許可証」や「管理費の領収書」

お墓の使用権者(名義人)が誰であるかを確認するための重要書類です。名義人が亡くなっている場合、まずは名義変更手続きが必要になることが多いため、これらの書類で現状の名義人を特定します。

親族の家系図と同意状況の整理

「誰の同意が必要か」を把握するために、簡単な家系図を書いてみましょう。

そして、「長男(同意済)」「次男(未連絡)」「叔母(反対)」のように、現在のステータスを書き込んでおくと、相談員や専門家が「どこがボトルネックになっているか」を一目で判断できます。

よくある質問(Q&A)

Q. 墓じまいの相談は無料ですか?

A. 相談先によりますが、初期段階は無料のケースが多いです。

  • 役所: 無料。
  • 消費生活センター: 無料。
  • 石材店・代行業者: 見積もりまでは原則無料。
  • 弁護士・行政書士: 初回30分無料などの枠を設けている事務所が多いですが、本格的な相談は有料(30分5,000円程度〜)になる場合があります。

Q. 墓じまい代行業者は信頼できますか?選び方は?

A. 信頼できる業者を選ぶためには、以下の点を確認してください。

  • 行政書士と提携しているか: 書類作成を適法に行えるか。
  • マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行するか: 不法投棄対策ができているか。
  • 実績の提示: 過去の事例や写真を見せてくれるか。

価格の安さだけで選ばず、コンプライアンス意識の高い業者を選びましょう。

Q. 警察に相談するケースはありますか?

A. 基本的に警察は「民事不介入」ですが、事件性がある場合は別です。

  • 恐喝: 「払わないと家に火をつけるぞ」などと脅された場合。
  • 窃盗・横領: 遺骨を勝手に持ち去られた、返還を拒否された場合。

緊急性がない相談の場合は、警察相談専用電話「#9110」を利用してください。

Q. NPO法人に相談するメリットは?

A. 営利を第一目的としないため、中立的なアドバイスが期待できる場合があります。ただし、「NPO」と名乗っていても、実態は特定の石材店や霊園が運営母体となっているケースもあります。運営情報を確認し、一つの意見として参考にすると良いでしょう。

Q. 相談してから墓じまい完了までの期間は?

A. 平均して3ヶ月〜1年程度かかります。

新しい納骨先の選定に時間がかかるほか、お寺との交渉や、改葬許可証の発行手続き、石材店の工事スケジュール調整などが必要です。お彼岸やお盆の時期は工事ができないこともあるため、余裕を持ったスケジュールで動くことが大切です。

まとめ

墓じまいは、先祖代々のお墓を片付けるという「終わりの活動」であると同時に、子供や孫の世代に負担を残さないための「未来への責任ある行動」でもあります。

複雑に見える墓じまいも、問題を分解すれば「行政」「お寺」「工事」「法律」のいずれかに分類できます。それぞれの専門家を正しく頼ることで、トラブルは未然に防げます。

Next Action


step
1
まずは親族に連絡し、「墓じまいを検討している」という意思を共有し、反対意見がないか確認する。


step
2
お墓のある自治体のホームページを検索し、「改葬許可申請」の手順と担当課を確認する。


step
3
少しでも不安やトラブルの予兆があれば、早めに専門業者の無料見積もり公的機関へ相談を入れる。


一人で抱え込まず、適切な相談先を頼りながら、納得のいく墓じまいを進めてください。

詳しくは墓じまいトラブル大全:ぼったくり/高額請求/放置の末路と、相談先までで解説しています。

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